昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2018/07/21

熊谷俊人 千葉県・千葉市長
「都合の良い理論に飛びつかず、せめて『市民の将来負担が増えても、ここはエアコン』と言って下さい」

ツイッター 7月18日

熊谷俊人・千葉市長 ©時事通信社

 名古屋大学准教授の内田良氏が全国の公立小中学校のエアコン設置状況をレポートしている(Yahoo!ニュース個人 7月17日)。文部科学省によると、全国の公立小中学校のエアコン設置率は2017年までに49.6%まで上昇したが、都道府県による格差が大きく、東京都は設置率99.9%なのに対して、愛媛県は5.9%とほとんどの教室にエアコンがない。内田氏は「基本的に学校にはエアコンの設置を前提とすべき」と述べつつ、いくつかの自治体でエアコン設置が進まない背景には財政的な事情があると指摘している。

 千葉県千葉市は171校ある市立の小中学校の普通教室のエアコン設置率が0%である(NHK NEWS WEB・千葉 NEWS WEB 7月18日)。熊谷俊人市長のツイッターには、小中学校の教室にエアコンを設置してほしいという声が数多く寄せられているが、それに対する熊谷氏の回答の一つが上記の言葉だ。とにかくエアコンをつける財源がない、ということだろう。千葉市教育委員会の試算では、エアコン設置に約76億円が必要とされている(朝日新聞デジタル 2014年6月26日)。

 熊谷氏はツイッターで「エアコン整備の必要性は私達も認識しています」としつつ、「学校施設の老朽化に多大な費用を投じている中で、さらにエアコン整備をする場合の財源調達等について市民の将来負担を考え真剣に研究・検討をしています」と回答している。

 一方、豊田市の死亡事故については「例の件はエアコン整備の問題ではなく、各教員の熱中症対策が適切に行われていたかが焦点」とし、別のツイートでは「屋外活動等が児童生徒には存在しており、既にエアコンが導入された自治体においてデータ上有意に熱中症発症率が減少したデータは存在しない」とも述べている。それなら酷暑時の屋外活動はやめればいいのではないだろうか? 日本スポーツ協会の「熱中症予防運動指針」では、暑さ指数が31度以上で「運動は原則中止」とされている(朝日新聞デジタル 7月20日)。

 2014年6月25日、千葉市議会は市立の小中学校などにエアコンの設置を求める請願を不採択としている。請願書は熱中症予防策としてエアコン設置を求めていたが、本会議に先立って請願を審査した12日の教育未来委員会では共産党を除く全会派が反対に回っていた。自民党議員が「環境への適応能力をつけるにはある程度、耐える能力を鍛えることも必要だ」と発言していたことが報じられると、批判が相次いだ(朝日新聞デジタル 2014年6月26日)。

 千葉市ホームページの「市民の声」には「市立小中学校にエアコンを設置してほしい」という要望が寄せられていたが、「現在、落下すると危険な校舎の外壁改修や、毎日使うトイレの洋式化改修等の老朽化対策工事を優先的に実施しております」と回答されている(2017年10月6日)。大阪北部地震では小学校のブロック塀が倒壊して小学4年生の女児が死亡しており、たしかに老朽化した建物を改修することは必須だろう。

 熊谷氏はツイッターで「既に1年前の選挙で共産党の対立候補が多くの市政課題がある中で、エアコン設置を最大課題として提示して選挙が行われ、私が当選しています」とも語っているが、だからといってエアコン設置を後回しにすればいいというわけではない。どちらも小中学生の命にかかわる問題なのだから。