眉はふんわりと柔らかく、唇も輪郭を縁取らず自然に仕上げられています。強さ一辺倒だった表情も温かみのあるものに変化しました。
報道によれば高市氏はメイクのレッスンを受けたとされており、この事実そのものが「助言を受け入れる柔軟な姿勢」を示すメッセージとしても機能しています。
リベラルの色である「ティールブルー」を選択した狙いは…
服装の変化も際立っています。1年前までは黒やネイビーのスーツに黒のインナーを合わせることが多く、全体に重く硬い印象を与えていました。議員としての実務能力は強調されていましたが、総理候補としての華やかさや国際性は乏しかったように見えます。
しかし今回は、天皇陛下の成婚衣装を担当したことで知られるジュン・アシダのブルーのスーツを軸に、白やクリームのインナーを合わせています。清潔感と柔らかさが加わり、顔映りを明るく見せる効果もありました。この変化は特に女性層からの共感を意識したものと考えられます。
出馬表明時のティールブルーのジャケットと大ぶりのイヤリングの組み合わせも注目されました。英国のテリーザ・メイ元首相を思わせる国際性が漂い、取り入れられた柄物のブラウスからはファッショニスタ的な要素のアピールも感じられます。
またこのティールブルーという色は子宮頸がんの啓発に使われる色であり、近年注目されている「ティール組織」という考え方を象徴する色としても知られています。
「ティール組織」とは、上下関係に縛られず、チームや個人が自律的に意思決定する柔軟な組織を目指す考え方で、つまりティールブルーはリベラルで柔軟な印象を伴う色でもあります。
高市氏がこの色を取り入れた戦略としては、従来「最右翼」と警戒されてきた保守的なイメージを和らげ、より幅広い層に受け入れられる姿を打ち出そうとした試みと見ることができるでしょう。
さらに9月18日の会見では、紫がかった暗い赤系のバーガンディー色のジャケットを着用しました。鮮烈な赤ではなく落ち着いたワインレッドという選択は、内に秘める情熱と洗練や品格を両立させ、季節感を意識した余裕もアピールする意図があったのでしょう。
服装やメイクだけでなく、話し方にも変化が見えます。
昨年の会見や演説ではフレーズごとに強く区切る話し方が目立ち、街頭演説のような力強さがありましたが、同時に聞き手に圧力を与える面もありました。
それが今年の会見では、目の前にいる人に語りかけるような落ち着いたトーンになり、聞き手が「自分に向けられている」と受け止めやすい印象を与えています。
一貫して「強さから柔らかさへ」という高市氏の戦略は、総じて効果を発揮しており、強硬なイメージを和らげることに成功しているように思われます。

