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「本当に疾病なのか」

 こんな怖いことばかり書くと、ゲーマーやゲーム会社の方々から「ゲームを目の敵にする嫌なヤツ」と思われるかもしれません。

 ホリエモンこと堀江貴文氏と元2ちゃんねる管理人のひろゆき氏も対談で、「ゲームが好きという理由でプログラムの勉強をした人がけっこう多い」(ひろゆき)、「これからの世の中は、趣味や好きなことが仕事になっていくと思っている俺としては、時代錯誤感が甚だしい」(ホリエモン)などとして、WHOの病気認定を批判しています(「WHOが『ゲーム障害』を新疾病に認定。ホリエモン×ひろゆきが『時代錯誤だよ!』」週プレニュース2018年7月21日)。 

 また、世界的にも専門家から、「ゲーム障害の研究は対象や方法に一貫性がなく、診断の判定ポイントも示されていない。エビデンスが不十分で時期尚早だ」との声が上がっているそうです(「『ゲーム障害』は本当に疾病なのか? WHOの認定で巻き起こる論争」WIRED2018年6月30日)。

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文科省の調査でわかった「ゲーム」と「学力」の相関関係

 ただし、こんな調査もあります。2017年8月に文部科学省が発表した「全国学力・学習状況調査」によると、平日にテレビゲームを1時間以上遊ぶ小中学生の割合は年々増加しており、しかも平日にテレビゲームをする時間が長い子どもほど学力テストの平均正答率が低かったというのです。

 これは、保護者や教師にとって、無視できないデータです。ゲームは1日1時間程度なら悪影響をもたらさないという研究もありますが(中室牧子著『「学力」の経済学』)、その程度の時間で子どもにけじめをつけさせ、ゲームをやめさせるのは本当に困難です。

病気のレッテルを貼ることよりもやるべきこと

 私もゲーム自体を否定しているわけではありません。私自身は気晴らしに麻雀ゲームくらいしかしませんが、小学生の息子はスキあらばiPadでゲームしようとします。友だちとゲームを楽しむのは悪いことではありませんし、ゲームを完全に取り上げるのは親の意思がよっぽど強くない限り、今の世の中ほとんど「無理ゲー」な話です。

 それに、ゲーム好きが高じてプログラマーや企業家になれた人や、孤独が救われたという人もいるでしょう。ゲームを生きがいとして、充実した人生を送っている高齢の方もおられると聞きます。このように、ゲームにはポジティブな面もたくさんあるはずなのです。

©iStock.com

 ただし、ゲームへの過度な依存によって、人生に無視できない悪影響を被る人がいるのも確かです。WHOの認定があったからといってゲーマーに「病気」のレッテルを貼るのではなく、むしろこれをきっかけに、学校でのネット教育の一環としてゲームのネガティブな面や上手な付き合い方を教えたり、ゲームの使い方について家族で話し合ったりするのが一番いいのではないでしょうか。

 そして国やゲーム関連企業にも、子どもなどがゲーム障害に陥らないよう予防策を講じ、楽しさだけでなくリスクについてもバランスよく伝える努力を求めたいと思います。