「自分は大事にされていないんだ」母に見切りをつけ、スポンサーとして接するように
――お母さんとのやり取りで、特に印象に残っていることはありますか。
みずき 中学生の時に、私が学校でいじめられているんじゃないかと母が疑いを持ったことがあって、かなり激しい言葉をかけられました。実際にはいじめられたわけではないのですが……。その時に「いじめられるために学費を支払っているわけじゃない」と言われ、すごく怒られて。
私自身への心配ではなく「高い学費を出してやっているのに、いじめられてくるとは何事だ」という怒りが先に来るんだ、とすごくガッカリしました。それまでも「お金を出しているんだから言うことを聞け」「成績が悪いなら学費は出せない」とか言われていて、うっすら「自分って大事にされていないな」と感じていましたが、それが確信に変わって。ああ、この人は自分を投資対象としか見ていないんだな、みたいな。
この頃から「この人はスポンサーでしかない」と捉えるようになって、衣食住の世話をしてもらうために、母が望むような学校内でのポジションであったり、成績や進学先であったりを意識的に目指すようになりました。
――東大を目指したのも、それがきっかけですか。
みずき それも少しはありますが、東大を目指したのは、研究者になりたいという夢があったのが大きいです。両親が研究職だったのもありますし、化学が昔から好きだったので。実際に、東京大学では理学部に進学しました。
――学校の成績は昔から良かったんですか?
みずき 小学校では成績が良くて、何となく「周りより賢い」というのをアイデンティティーにしたように思います。中学受験のために入った塾でも、それなりの位置にいました。でも、あまり親に褒められた記憶はないですね。
中学受験では第一志望に落ちてしまって、男子校の一貫校に進学しました。最終的には上位3分の1くらいの成績だったと思います。
――東大を目指す上で、かなり根を詰めて勉強を?
みずき 中学1年生から鉄緑会という東大専門の予備校に入って、とにかく宿題が多いので夜中までやっていたというのはありますけど、あんまり追い詰められたとか、根を詰めた記憶はないですね。学校もそうですし、与えられる課題を粛々とこなしていった結果、受かったというのが近いというか。
