――仕事もプライベートもずっと一緒なこと自体はストレスにならないですか?

さくら 確かに家族が別々に過ごすという感覚はなかったですね。ずっと一緒にいることが苦ではないというか、それが当たり前というか。

陽太郎 ずっと一緒にいても大丈夫な人と結婚したいというか、結婚したらそうなんだろうなと僕も思ってましたね。

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――仲良しですね。

さくら もちろん小さな衝突は日々ありますよ。今はゴルフの時もずっと一緒なので、「今日の練習内容はこうしよう」って言われても、私の気分が乗らなくて反発しちゃうとか。でも8月に2人でルールを決めて、“私はゴルフについて口出ししない”ことにしたので、前よりは衝突も減ったと思います。

 

「夫に『1回ゴルフの権限を100%渡してほしい』と言われたんです」

――「ゴルフについてさくらさんが口出ししない」ですか? 逆ではなく?

さくら そうなんです。夫がキャディにつくようになって何年も経ちますけど、クラブ選びや練習方法なんかで言い合いになることがよくあったんです。でもこの間話し合って、ゴルフに関する決定権を“夫に100%委ねる”と決めました。練習内容や普段の食事、もちろんクラブ選びやコースの攻め方も含めて夫が決めて、今の私は「打つ専門」です。

――どうしてそうなったんでしょう?

さくら 今までは「ゴルフは私の領域」「私がチームを引っ張らなきゃ」と思っていたので、ゴルフについては私が主導権を持ってやってきました。でもここ数年いい成績が出せていないなかで、「これは私の責任だよね」という話になり、夫に「1回ゴルフの権限を100%渡してほしい」と言われたんです。

――それで「わかりました」と。

さくら もちろん最初は不安でしたし、今までは私が自由にやっていたのに、夫にゴルフコースを歩くスピードや歩き方まで指摘されてムッとすることもありました。でも私主導でやって結果が出てないのは事実だから「まずは2週間、やってみよう」と。

――森川さんもよく横峯さんを納得させましたね。

 

陽太郎 ちょうどドラマ『グランメゾン東京』をさくらと一緒に観ていてそのたとえ話で説得しました。シェフに対してみんなが「ウィ、シェフ!」って言うと、厨房の全員が従うじゃないですか。あの感じでやってみよう、と。

さくら 「ウィ、シェフ!」を合言葉にして、私は「シェフに従うだけ」って切り替えたら、不思議とスッと楽になったんですよね。プレーに集中できるようになったというか。

――いい効果が出たんですね。

さくら 体制を変えた最初の週の試合で久しぶりにトップ10に入れて「あ、これでいいんだ」って思いましたね。ただ久しぶりの好成績で気が大きくなって、次の試合は戦術のことで口論してしまって大きく崩れました(笑)。やっぱり私が口出ししないで委ね切った方がうまくいくんだと再確認して、今は完全に納得してます。

――何がプラスになったんでしょう。

さくら “意思決定の数”が減ったのが一番大きいですね。朝食べるものから、いつ何をしてどういうトレーニングをするのかまで、今は夫がすべて決めます。余計なことを考えないのでショットに集中できるようになりました。

 試合でうまくいかないと練習時間も長くなって、子どもとの時間も減って……という悪循環だったので本当に変えてよかった。

――そんなに大きな効果があったんですね。

さくら クラブを契約してくれているマスダゴルフさんとのやりとりも、夫を挟んでもらうようにしました。そうしたら、ずっと課題だったドローボールが打てるようになったんです。マスダゴルフさんの説明を夫が私用に翻訳してくれることで、こんなに変わるんだと驚きました。