国内女子ゴルフツアー通算23勝、2009年賞金女王にも輝いた横峯さくらさん(39)。28歳で結婚、35歳での長男出産を経たいまも、トレーナー兼キャディを務める夫・森川陽太郎さんと一緒に、4歳の長男を連れてツアーで日本中を転戦する生活を送っている。
「30歳で専業主婦になるつもりだった」というさくらさんが出産後に4カ月でスピード復帰した理由、陽太郎さんが抗おうとした「横峯さくらの夫」という立場の難しさ、そして日本ゴルフツアーでどうしても実現したいことについて話を聞いた。(全3回の3回目)
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――さくらさんは35歳の時に出産されていますが、アスリートとして大きな決断だったと思います。
さくら 本当に悩みました。子どもは欲しいけどキャリアもあるので、ずっと「今年にする?」「いや、もう少し待つ?」と夫と話していました。成績が良ければ「今じゃないよね」ってなるし、悪くても「巻き返したいから今じゃない」と踏ん切りがつかない。今となっては産んでよかったと思いますが、キャリアを止める選択はやはりとても悩みました。
――出産後の復帰はどう考えていましたか?
さくら 産後1カ月で「そろそろいいですよ」と医師に言われて練習を始めたんですけど最初は腹筋が1回もできなくて、「え、これゼロから?」って。でも復帰戦を2カ月後に決めてたから、「逆算で積み上げるしかない」と。毎日少しずつ回数を増やして、なんとか間に合わせました。
「試合がある時は寝かしつけは夫が担当。罪悪感はありますけど…」
――ツアーはお子さんを連れて全国を回っているんですよね。
さくら 基本的にはそうですね。一番大変だったのは子どもが2歳の頃で、目を離すとすぐにどこかに行っちゃうので、ホテルについたらすぐに“安全の設営”をしていました。部屋の角すべてにクッション材をおいたりして、コンセントは全部カバー。お風呂は滑り止めマットを敷いて、スーツケースを柵代わりにして寝床の周りに置いたり。ゴルフよりそっちに体力使ってたかも。
――試合と子育ての両立は本当に大変そうです。
さくら 私が試合がある時は寝かしつけは夫が担当してくれました。真夜中にホテルの外を抱っこで散歩している間に、私は次の日に備えて寝るんです。罪悪感はありますけど、2人がそれぞれの役割に徹しようと話し合って、感謝して寝かせてもらっています。

