国内女子ゴルフツアー通算23勝、2009年賞金女王にも輝いた横峯さくらさん(39)。28歳で結婚、35歳での長男出産を経たいまも、キャディを務める夫・森川陽太郎さんと一緒に、4歳の長男を連れてツアーで日本中を転戦する生活を送っている。

 選手とキャディであり、妻と夫でもある2人はどんな関係性を築いているのか。互いの家事についてのルール、お財布は1つでさくらさんが持つ理由、そして夫に言われた「ゴルフの権限を100%渡して」の意味とは……。(全3回の2回目)

横峯さくらさん ©文藝春秋 撮影・志水隆

◆◆◆

ADVERTISEMENT

――そこから結婚までは順調に?

さくら 付き合い始めて3年たって、私が28歳の時に結婚しました。プロポーズされたのはもっと早くて、付き合って1年ぐらいの時で、指輪を渡されて「結婚しよう」って言われたときにはもう迷いなく「はい」って答えられました。そこからいろいろ周囲の調整をして、正式に結婚したのが28歳の時だったという感じですね。

――プロポーズは森川さんからなんですね。

陽太郎 もう少し先の日を計画してたんですけど、指輪を買ったら早く渡したいのがガマンできなくて、家でコタツに入ってる何でもないタイミングで「結婚しよう」と言って渡しちゃいました。

――結婚後、生活スタイルなどは変わりましたか?

さくら ガラッと変わりました。独身の頃は、試合がない月曜や火曜はストレス発散で飲みに行ってたんです。だけど夫と出会って付き合いが深まるにつれて、ぱたっと行かなくなりました。結婚してからは基本的にずっと一緒にいる生活ですね。

――今は家でもツアーでも一緒だと思うのですが、家事の役割分担はあるんですか?

さくら 私がやるのは掃除や洗濯と持ち物チェック。子どもの靴下やタオル、保湿クリームなんかの用意です。夫は運転と荷物の積み込みと食事の用意をしてくれて、国内だと北海道と沖縄以外は全部車で移動なので本当に助かっています。アメリカにいた時に私が赤身肉や揚げ物が苦手なので体重が落ちてしまったのがきっかけで、夫が「じゃあ俺が作るよ」って作ってくれるようになりました。

――試合にもお子さんと一緒に移動しているんですよね。

森川陽太郎さん

さくら 睡眠時間が減るとさすがに試合に響くので、長男が小さい頃は夜泣きの対応も夫がやってくれていました。夜中に子どもが泣くと最初は私も目がさめちゃったんですけど、夫に任せると決めたら、同じ部屋で寝ていてもほとんど起きなくなりました。

陽太郎 窓の外が薄青くなって、子どもがやっと寝てくれる瞬間があるんです。あの静けさは、たぶん一生忘れない(笑)。

「お財布は共通の1つだけで、普段は私が持ってます」

――子育てや家事の方針でもめたりすることはありますか?

陽太郎 互いの領域については「気になってる雰囲気も出さない」ってルールを決めたんですよ。さくらが洗濯している横で「自分がやろうか?」っていうそぶりを見せなくちゃというだけでも心から休めないので完全に割り切っています。

――お金の管理はどうですか?

さくら お財布は共通の1つだけで、普段は私が持ってます。夫が飲み会とかコンビニに行くときは「お金ちょうだい」と言われて渡す感じね。どちらも物欲が全然ないので、そういえばお金でケンカしたことはないですね。