サイクリストの悩みのタネは?

 というのも、しまなみ海道は全区間を走ると約60kmに及ぶ。尾道駅から今治駅までとなると、実に約70km。それだけの距離を走破するのはもはやサイクリングガチ勢に限られる。

伯方島と大三島の間を結ぶ大三島橋

 レンタサイクルでは電動アシスト自転車を借りることもできるけれど、それでも70kmも走り続けるというのはハードルが高い。

 そうなると、どうしても途中で折り返すという判断になってしまう。最近とみに観光地として知られるようになった生口島の瀬戸田あたりなら、尾道から約20kmの距離だ。

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瀬戸田のサイクリストたち

 それくらいならば、尾道を午前中に出発して瀬戸田でランチ、のんびり観光してから引き返して夕方にまた尾道、というお手軽サイクリングツアーができあがる。

 もちろんこれでもいいのだが、やっぱりせっかく来てくれたのだから、もっとしまなみ海道や周辺の島々を含めて全体を楽しんで欲しいもの。

瀬戸田の町並み

 特に近年、しまなみ海道は、サイクリストの聖地として認知されるにつれ、サイクリングガチ勢だけでなく、多くの観光客で賑わうようになった。

自転車と船を組合わせた新ルート

 このような所謂、サイクリング未経験者・初心者=ライト層からは、「観光や食べ歩きだけでなく、せっかくしまなみ海道に来たのだから、サイクリングにもチャレンジしたい」という声が聞かれる。

 自転車と船を組合せて、島々に立ち寄りながらであれば、ライト層であってもしまなみ海道走破にチャレンジできるというわけだ。

瀬戸田港にて

 こうした課題やニーズを出発点に、ある取り組みが始まっている。尾道と今治を結ぶ航路の開設だ。

 もともと四半世紀ほど前には尾道~今治間の定期航路があったが、しまなみ海道の整備とともに、生活航路としての役割は終えた。地元の人たちの日常利用なら、クルマで1時間も走れば済むからそれでも充分だった。

 それを今回、観光航路という別の視点から復活させる取り組みが始まった。