360キロ減のダイエットに成功
遂に、マイラの身体からは800ポンド(約360キログラム)近い肉塊が消え去った。そんなマイラを訪ねた、プロテイン・ビジネスを手掛けるモデルのファビオ・ランツォーニは彼女の姿を見て一言、こう叫んだ。
「奇跡だ!」
ファビオは続ける。
「とても元気そうだね。最高の外科医のおかげだ。人生、どんなことでも信じていれば達成できるんだよ」
マイラも減量できた自分が信じられなかったのか、
「減量できるとは思っていなかった」
と呟いた。ファビオはマイラにダイエットを続けるよう励ました。
「君には低カロリーで高い栄養分が必要だ。甘くないアーモンドミルクは30キロカロリーしかない。このプロテインは80キロカロリーだ。合わせて110キロカロリーしかない。カロリーは低いが、クオリティーは高い。君はやりたいことを実行するパワーを持っている。奇跡は起きる、できると信じればね」
ようやく動き始めた人生
マイラの減量を成功に導いたものは何だったのか? バルデスは「純粋な意志の力」と明言している。
マイラ自身はこう話している。
「ヘルシーになれたのは、生き続けられているのは、神様のくれた奇跡だと思う。今は糖尿病ではないし、コレステロールも高くないし、高血圧でもなくなりました。健康になりました。私の臓器はパーフェクトです」
赦しもまた、マイラに力を与えたのではないか。妹ジェイミーに対する赦しだ。2012年、CNNの看板キャスター、アンダーソン・クーパーのインタビューを受けたマイラはこう話している。
「妹は手紙で『ごめんなさい』と謝っていました。許してくれるの? と聞く彼女を私は許しました。間違っているように感じられるかもしれませんが、彼女を愛しているからです」
そう答えたマイラにクーパーはたたみかけるようにきいた。
「彼女はあなたの甥を殺しましたよね?」
マイラは答えた。
「はい、それでも彼女は私の妹なんです。彼女を愛しています。彼女は自分の行動に責任を感じています。助けを必要としているんです」
32歳。減量により歩行器で歩くことができるようになり、遂には、歩行器なしでも歩くことができるようになったマイラの生活は激変した。外出し、食品や洋服のショッピングができるようになったのだ。
「前とは全く違います。外出もできます。シャワーを浴びることもできます。外に出て夕日を眺めることもできます」
マイラは甥や姪の世話をするために、自立するという課題に挑戦を始めた。
