10月2日、NYダウ平均株価の終値が史上最高値を更新し、日経平均株価も同様に史上最高値を連日更新し、9月25日時点で45,754円を記録した。
AIや半導体企業が牽引する株価高騰に、バブルを懸念する声が上がり始めている。9月17日に利下げを発表したFRB(連邦準備制度理事会)は今後も金融緩和策を続けると予想され、株価を下支えすると見られている。そのような情勢下で、株価の暴落は起こり得るのだろうか、もし起きたら世界経済にどのような影響がもたらされるのか?
「リーマンショックほどの大不況にはならない」
BNPパリバ証券のチーフエコノミストの河野龍太郎氏とみずほ銀行のチーフマーケット・エコノミストの唐鎌大輔氏は、「文藝春秋」11月号で対談し、ともに「株価が暴落したとしても、リーマンショックほどの大不況にはならない」という見解を示した。
「リーマンショックの際には家計部門が過剰な住宅投資を行い、大きな債務、つまり不均衡を抱えていました。しかし、現状の世界経済では家計や企業にほとんど不均衡は見当たりません」(唐鎌氏)
河野氏は、株価暴落が起こったとしても、世界経済への影響は2000年代初頭のドットコムバブル(ITバブル)程度にとどまると予測する。
「新しい技術への期待が先行して現実がそれに追いつかないことは常に起こる話で、避けることはできません。乱暴な言い方をすれば、株価が上がりすぎたから、大きく下がったということにすぎません」(河野氏)
では、世界的な不況をもたらしかねない「火種」は、まったく存在しないのだろうか?
「文藝春秋」10月号(10月10日発売)及び、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」(10月9日先行公開)に掲載されている河野氏と唐鎌氏の対談では、プライベートクレジットの膨張、中国の不動産バブル崩壊、ドル覇権の弱体化、そしてステーブルコインなどを多角的に検証している。


