「高齢だから子どもに負担をかけるんじゃないか」母は出産直後に育児に悩み、自殺未遂をしたことも…
――一緒に住んでいなかった?
エリ 平日は愛児園で過ごして、土日や祝日は家で両親と過ごす生活でしたね。完全に一緒に暮らすようになったのは、小学生になってからでした。
――お母さんは高齢での育児に悩んでいた時期もあるそうですね。
エリ 私が産まれた直後にノイローゼ気味になってしまったらしくて。「高齢だから子どもに負担をかけるんじゃないか」「ちゃんと育てられるのか」と不安になって、自殺未遂するほど追い込まれてしまったそうなんです。
それで、九州に住んでいた叔母のもとに身を寄せて、一緒に暮らしていた時期もあったみたいで。
私は母が泣く姿や弱っている姿を見たことがなかったから、母が亡くなったあと叔母からその話を聞いて、「そんなことがあったんだ」と驚きました。
母が授業参観に来ると、周りから「おばあちゃんですか?」と…
――そういう経緯もあって、エリさんには年齢を若く伝えていたのかもしれませんね。
エリ そうかもしれません。母は書道をしたりピアノを習ったり、いつも脳を活性化させるようなことに取り組んでいたのですが、それは若くいたいという気持ちがあったからだと思います。
でも、私の授業参観に来ると、周りの人から「おばあちゃんですか?」と言われることが多くて。そのたびに少し辛そうな顔をしていたのを覚えています。
――ご自身はそんなお母さんの姿を見て、どう思っていたのですか。
エリ やっぱりほかの子のお母さんに比べたら年上に見えるので、母が授業参観に来るのが少し恥ずかしい、という気持ちはありましたね。でも周りから「おばあちゃん」と言われることには怒ってました。
――エリさんは20代でご両親を見送っているんですよね。
エリ 父は79歳で亡くなりました。亡くなる直前に病院に駆けつけて、「お母さんが来るまで耐えてよ」ってずっと手を握って声をかけていたんです。
その後、到着した母が「着いたからね」と声をかけたら、その2分後くらいに息を引き取りました。ああ、安心して逝ったんだなって思いましたね。当時は悲しいというより、「お疲れ様」という気持ちでした。

