「母が洗濯物と一緒に倒れていた」82歳になった母親がくも膜下出血と脳梗塞で救急車で運ばれ…

――お母さんは今年1月に亡くなったそうですね。

エリ そうです、82歳でした。私が朝出かけようとしたら、「バタッ」と大きな音がして。洗面所に行ったら、母が洗濯物と一緒に倒れていて。くも膜下出血と脳梗塞でした。

 救急車で運ばれたあと、5日間は頑張ったんですけど……。母は頑固な人だったので、看護師さんから「娘さんの前では逝かないかもしれませんよ」と言われていて、その言葉通り、私が一度家に帰ったタイミングで容態が急変したんです。きっと、私の前で逝きたくなかったんでしょうね。

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 母が亡くなってから叔母に聞いて知ったのですが、母は生前のうちにお墓を建ててくれていたり、私が1人になっても苦労しないように、いろいろ考えて準備してくれていたんです。そこに大きな愛を感じましたね。

 

――ご両親の死を経験して、思うところはありましたか?

エリ 「人生はいつ終わるか分からない」と実感しましたね。あと、いつか自分も死ぬんだから、日々を大事に、やりたいことをやって生きようって強く思うようになりました。

 それで、勤めていた正社員の仕事を辞めたり、オーストラリアに1ヶ月留学したり、フルマラソンをしたり、富士山に登ったり……。やりたいことに挑戦するようになったんです。

 親が大変な思いをして産んでくれた命なので、これからも自分がやりたいことをして、天国にいる両親を喜ばせたいと思っています。私が天国に行った時には「私を産んでくれたおかげで、こんなにいろいろなことができたよ」と胸を張って報告したいです。

「もしかして、エリさんもですか?」SNSで同じようなルーツを持つ家族に出会った

――今年3月には、ご自身の生い立ちをSNSで公表されて大きな反響を呼びました。なぜSNSで発信しようと思ったのですか?

エリ 母が亡くなった後、SNSに「54歳で産んでくれてありがとう」と投稿したんです。体外受精のことは一切書いていなかったのですが、それを見たある女性からDMが届いて。

 その方は48歳の時にダブルドネーション(卵子と精子の両方を第三者から提供してもらうこと)でハーフの顔立ちのお子さんを産んだらしくて、「もしかして、エリさんもですか?」と連絡をくださったんです。

 

――同じような境遇の方から連絡があったと。

エリ 初めて自分と同じようなルーツを持つご家族に出会って、すごく感動しました。その方に会いに行って、2歳のお子さんに会った時は、昔の自分を見ているようで号泣してしまいました。

 その方が、「エリさんみたいに、28年前に生まれて元気に育っている子の存在は、私たちにとってすごく勇気になるんだよ」と言ってくださって。その言葉がきっかけで、発信してみようと決めました。