フジテレビへの履歴書にはスナップ写真を貼って

――それでフジテレビに入社するとはまた意外ですよね。

中村 高校生の頃に『夕やけニャンニャン』は見たことがありました。でも『オールナイトフジ』は見たことがなかった、そもそもテレビをあまり見ていなかったんです。でも、不思議なことに、こういうことってご縁とかタイミングなんですよ。

 就職活動中、私は自分自身が一体何をやりたいのか、全く先が見えていなくて、いい加減な気持ちでOG訪問や面接に行くのが嫌で、何もできなくなってしまったんです。もちろん、就活用の服なんて買っていません。ひたすら悶々と悩む日々が続いていた時に、母の学生時代の先輩から「気持ちはわかるけれども、今は立ち止まらず一歩進んでみたらどうか? そして、僕は君の声がとても良いと思うからアナウンスの仕事はどうかな? まずは動いてみなさい!」と言われ、その方の言葉通りにアナウンス部があるテレビ局の試験について調べました。

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 フジテレビは2日後が履歴書受付の締め切りでした。履歴書に貼る写真なんてないですし、間に合わないので、フジテレビの人事部に電話をして、「履歴書に貼る写真がないので、スナップ写真でもいいですか?」と聞いたら、「大丈夫ですよ。あなたの気に入っている写真を貼ってください」とお返事いただきました。ちょっと前に家族で出かけるときに玄関前で撮影した写真を貼って、郵送では間に合わないので直接フジテレビに持って行きました。

「なんて楽しい面接だったんだろう!」って感じた

――素敵な玄関ドアの前でしゃんと立つお嬢さんの写真が、エッセイ『女四世代、ひとつ屋根の下』に掲載されていますね。

中村 本当になんでもないスナップ写真。でも多分、きちんと美しく撮影された多くの履歴書の中で、そのなんでもない感じが、その年のフジテレビにはピタッと当てはまったのだと思います。入社後に「なぜ、私が入社できたのでしょうか?」と上司の須田哲夫さんに聞いたことがあります。「えりちゃんのあの写真は、強烈だったね」って(笑)。

夫シャルル・エドワード・バルトさんと中村江里子さん

 面接もノーメイクでした。面接官から「ノーメイクで来る人は珍しいですね」と言われ、もうダメだと思いましたが、本当にたまたま、フジテレビが必要としていた“感じ”に私が当てはまったのだと思います。きっと前年、またはその1年後だったら、全く違う結果になっていたのでは?と思っています。

――他局は受けなかったんですか?

中村 日本テレビやTBSも受けましたが、複数人で受ける面接で緊張してしまい思うように話せず、完全に失敗しました。フジテレビは面接官3人に対して私1人。「フジテレビ、あまり見ていません」なんて返答をしても、面白がって聞いてくださり、終わった後に「なんて楽しい面接だったんだろう!」って感じたのを今でもよ~~く覚えています。

次の記事に続く 「ふっくらしていたために妊娠疑惑が出て…」30歳で突然退社→フランス人夫と結婚…元フジアナウンサー中村江里子(56)が語る、運命を感じた“出会い”

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