フランスではすべてが「人それぞれ」、女性も自由に生きられる
――フランスではそのスタイルが一般的ですか?
中村 きっちり半々と話した時には驚かれましたが、フランス、特にパリでは多くの女性が仕事をしていますし、カップルそれぞれに事情が違うので別に他の方達と違っても全く問題ありません。
あくまで私が感じたことでいえば、フランスはさまざまなルーツを持つ人たちが集まっている、そして宗教も違うので、すべてにおいて人それぞれなんです。私たちのまわりでも、役所で式をあげた婚姻関係にある夫婦もいれば、PACS(連帯市民協約=性別にかかわらず、成年に達した2人が共同生活を営むために交わす契約)、特に何かを交わすことなくパートナーとして一緒にいる人たちもいます。それぞれが経済的に自立できていることによる“自由”があると思いますし、夫婦別姓も含め、それぞれのやり方で生きていけば良いのだと思います。
しかも結婚や出産する際、女性が何かを諦めたり、仕事か家庭かの選択を迫られる必要がなかったことに、当初は驚きました。本人が望み、生活のバランスを考えられるのであれば、結婚も出産も育児も、仕事をしながら続けていけます。地域による差は多少あるかもしれませんが、“こうあるべき”という押し付けのようなものはなく、少なくとも私の周囲では、皆さんが自分の責任でやりたいことをやっています。
子育てのサポートを頼むのは悪いことじゃない
――育児の面でも、やはりフランスと日本では大きく違うのでしょうね。
中村 よく聞く話かとは思いますが、フランス人の夫婦は、子供ができてもお互いを名前や愛称で呼び合い、パパ、ママと呼ぶことはありません。子供にかかりっきりで二人きりで過ごす時間がなくなるということもなく、努力して時間を作ります。
子育て全般でいえば、母親が担うことのほうが多い気がしますが、それは女性の方が気がついたり、できることが多いからではないかと。でも、朝、学校や幼稚園に送るのはパパが担当する率が高いかな。
うちの夫は本当に出張が多く、家にいなかったので大変でしたが、アパートの管理人さんやシッターさんにサポートしてもらいながらやっていました。管理人さんは、一生懸命やっている私を見て「マダム、赤ちゃん預かってあげるから、ちょっとカフェでも行ってらっしゃい」と声をかけてくださることもある。日本人はついつい、一人で頑張ってしまいますが、サポートを頼むことは悪いことではないのだと、子供が増えるたびに強く感じました。

