もっと伝えていきたいフランス式の学校教育

――学校のシステムや環境も少し教えてください。

中村 学校での教師のあり方、先生と親の関わり方は興味深いものがあって、それぞれの役割が明確なのだと思います。

 まず、子供たちは6週間通学すると、次の2週間はヴァカンスがやってきます。大人は仕事があるので、ずっと子供と一緒に過ごすことはできませんが、それぞれスケジュールをやりくりして家族で出かけるなどしますから、そもそも家族で過ごす時間が圧倒的に多いんです。

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 クラブ活動なんかもないし、先生だってお休みです。当たり前ですけど、保護者は働いている人が多いから、保護者会は夕方の6時以降に行われます。教育に関しては、フランス的な考えを日本に取り入れたほうが、子どもたちも楽になるし、先生にとっても、もっと自然に子どもたちと関われるだろうなと思うことが多いので、今後は、そういうことも伝えていきたいですね。

家族写真

――フランスでは老若問わず個人を尊重しあい、合理的で羨ましいなと思うのですが、まだ戸惑うこともありますか。

中村 大概のことにはもう慣れましたが、フランス人は言いたいことははっきり「伝える」という文化。「察する」ということはしないので、そこはいまだに戸惑います。

 以前に比べれば、私も言いたいことはきちんと言えるようになりましたが、それでもついついこの先は察してほしいなと言葉を濁してしまうことがあります。でも、それでは誤解を生むことにもなる。自分の意思を明確に伝えるという部分では、まだまだ未熟だと感じる時が少なくないです。

 あとは……そうですね、みんな勝手かな。自分が勝手だから、他人の勝手も許容している感じがあります(笑)。

ミラノで新生活にチャレンジ、でも「やっぱり日本は良い!」

――この9月からミラノにお住まいとのことですが、56歳になられたいま、この先の仕事や暮らしのヴィジョンはどのようにお考えですか?

中村 うわ~、お答えするのが難しい質問です。現在、長女と息子は東京にいます。私は夫と次女の3人でミラノでの暮らしをスタートしています。家族全員が新しいチャレンジの年となっています。先のことはわかりませんが、今は言葉もわからないミラノで日々格闘しています。もしパリにいたら、長女と息子の不在を寂しく思い、泣いていたかもしれませんが(笑)、私たちも私たちで一杯一杯で、彼らの不在を寂しがる余裕もありません。3年後に次女が独立する時にも、こんなふうに私たちも何か新しいことに挑戦をしているかも?

夫シャルル・エドワード・バルトさんと中村江里子さん

 でもやはり年齢を重ねるにつれ、日本に戻りたいという気持ちは強くなってきています。フランスは大好きな場所で、生活も困ることはなくなりました。それでも体や心のどこかで常に力が入っているような感覚はあります。日本に行くと、その余計な力は抜けていくのです。家族や友人たちもいますから、やっぱり日本は良いです!

 理想は南仏の家、そしてパリには小さなアパートを借りて、日本にも行けて(笑)、そんなことができたら最高ですが、体調も変わってくるでしょう。しなやかに、その時に自分たちができる最大の楽しみを見つけていたいと思っています。

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