中国の“情報収集艦”が出没!

 NATO(北大西洋条約機構)コード「ドンディアオ」級、大きく怪しげなアンテナをまとった中国海軍の情報収集艦「798」である。

 

 あの大きなアンテナで、艦載機パイロットと空母航空管制室との会話を傍受したり、その際のコースや発着艦頻度などの情報をかき集めているのだろうか。不肖・宮嶋が見るだけでも、5日間丸々付きまとっていた。

 

 もちろん、公海上なので何の問題もない。海上自衛隊も「情報収集艦」はないが、それでも中国海軍の活動を監視している。実際、同じ時期に電磁カタパルトを備えた中国の第3の空母「福建」が我が国固有の領域である沖縄県尖閣諸島周辺海域を通過した際には、その動向を把握して国民にも情報を提供している。

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公海上なので問題はないが…

 昨年からは、護衛艦「たかなみ」「さざなみ」「あきづき」の3隻も台湾海峡を堂々と通過している。国際法上、自由な航行が認められているはずの国際水域での通航である。にもかかわらず、中国政府からは警告や抗議を受けたが。

 

 しかし、中国海軍にも事情がある。我ら自由主義陣営の艦隊が航海を続けていたのは、東シナ海から台湾の防空識別圏ぎりぎりをかすめて西太平洋上に抜けるというコース。そのうえ同海域では中国空母も訓練中であり、台湾や日本に対する威嚇、挑発を続けていたのである。

 中国海軍は近代になってから本格的な海戦の経験がない。そのため、実戦下での空母運用ノウハウや戦闘経験がある日英米海軍の空母を使った共同訓練は、それらの情報を収集できる絶好の機会でもあるだろう。

 

 それにしても、遠くからひそかに尾行するだけならまだしも、でっかい五星紅旗をマストに揚げて、真っ黒なディーゼルエンジンの排煙をもくもくと立ち上げての追跡は、誰の目にもあからさまである。