固定翼戦闘機の運用により、事実上“空母化”された我が国最大級の護衛艦「かが」。その「かが」が東シナ海を経て西太平洋へ向かう航海に、報道カメラマン不肖・宮嶋が10日間にわたり同乗した。
英米豪加諾(ノルウェー)の艦隊が集結した共同訓練。豊富な写真とともに、艦上の生活や訓練の実態を詳しく伝える。(全2回の1回目/続きを読む)
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日英関係の新章を開く歴史的航海
9月8日、海上自衛隊最大級の護衛艦「かが」は停泊していた長崎県海上自衛隊佐世保基地沖合から抜錨、英米豪加諾(ノルウェー)海軍等との共同訓練のため出航した。
佐世保沖から東シナ海を通り西太平洋へ。そこからは北上、豊後水道を抜け、瀬戸内海へ。そして母港・呉基地に帰投する、10日間にわたる「月月火水木金金」の艦隊勤務である。
この護衛艦「かが」については、不肖・宮嶋もアメリカ西海岸沖で乗艦したことがある。固定翼戦闘機「F-35B」による飛行甲板上での運用訓練を、サンディエゴから太平洋上の「かが」までの日帰り往復で取材した。
今回はみっちり10日間。我が国唯一の「空母」である「かが」を、飛行甲板のみならず艦内隅々まで取材できるのである。
なお、共に共同訓練の基幹となる英空母「プリンス・オブ・ウェールズ」の先代は、1941年に帝国海軍に沈められた戦艦「プリンス・オブ・ウェールズ」である。そして「かが」の先代も帝国海軍の空母「加賀」である。
第1次世界大戦では同盟まで結び、ともに大戦で勝利した日英だが、さきの大戦では敵同士となったものの、現在は再び連携を強化するようになった。先代が敵同士として戦っていた「プリンス・オブ・ウェールズ」と「かが」が艦隊を組み、航海を共にするのである。
同乗したメディアはわずか4人
だが、今回「かが」に同乗したメディアは4社のみ、たった4人。全長248m、基準排水量1万9500トンと自衛隊最大の護衛艦の一つである「かが」には、普段から500人以上の乗員に加え、災害派遣などに備え、陸上自衛隊員など450人以上も長期収容できるスペースと設備が備わっているのにもかかわらずである。
しかも、4人のうち3人は不肖・宮嶋も含め雑誌媒体。うち2人は軍事専門誌、もう一人は朝日新聞の「記者」である。テレビに至ってはゼロである。
しかし、これぞ選ばれし者の恍惚に身を打たれるというものであろう。あらためて兜の緒ならぬカメラのストラップを締め直す不肖・宮嶋であった。



