固定翼戦闘機の運用により、事実上“空母化”された我が国最大級の護衛艦「かが」。その「かが」が東シナ海を経て西太平洋へ向かう航海に、報道カメラマン不肖・宮嶋が10日間にわたり同乗した。
英米豪加諾(ノルウェー)の艦隊が集結した共同訓練。豊富な写真とともに、艦上の生活や訓練の実態を詳しく伝える。(全2回の2回目/最初から読む)
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国際社会に挑発を続ける中国
さて、予定通り佐世保沖から出航した「かが」では、普段よりよっぽど文明的、かつ健康的な艦隊勤務を続けることができた。だが、航海の主目的は、我々に艦内生活を体験させることではない。
インド・太平洋海域で「ハイマスト作戦」と銘打たれた8カ月にも及ぶ長期航海を続ける英空母打撃群、それに米豪加諾(ノルウェー)海軍等を加えた大規模艦隊との共同訓練を通じて、海上自衛隊自身の戦術技術を向上させ、かつ参加各国海軍との連携をも強化させることである。
とまあ官僚答弁のようだが、不肖・宮嶋に言わせれば……本航海上でもある台湾、沖縄周辺で我が国を始めとする国際社会に挑発を続ける中国に対し、日英両空母を基幹とした自由主義陣営の「連合艦隊」の連携と威風堂々とした勇姿を見せつけ、我が国や台湾への侵略の企図を挫くこと。これが真の目的であろう。
となれば、本航海の目玉となる訓練は、やはり英国海軍空母「プリンス・オブ・ウェールズ」と「かが」との日英両空母が中核となった、対水上艦、対潜水艦戦闘などの各戦術訓練であろう。
6カ国の艦隊が集結
参加艦隊は、海上自衛隊から「かが」に加え、護衛艦「あけぼの」、英空母打撃群からは旗艦「プリンス・オブ・ウェールズ」にイージス駆逐艦「ドーントレス」、フリゲート「リッチモンド」、補給艦「タイドスプリング」、さらにノルウェー海軍からはフリゲート「ロアール・アムンセン」、カナダ海軍のフリゲート「ヴィル・ド・ケベック」、米海軍の駆逐艦「ヒギンズ」、豪海軍駆逐艦「ブリスベン」と6カ国の戦闘艦だらけ。さらに英海兵隊が加わる、極めて実戦的な訓練である。
各国海軍艦艇とのクロスデッキ(艦載機や人員の相互訪問)も実施され、英空母「プリンス・オブ・ウェールズ」から「かが」へのF-35B戦闘機の発着艦訓練も期待されていた。
しかし、「プリンス・オブ・ウェールズ」が8月12日に横須賀基地へ入港する前に、英海軍と米海兵隊のF-35Bがすでに発着艦訓練を終えていたため、その期待はかなわなかった。
昼夜を問わない実戦的訓練
代わりに「かが」はヘリ空母機能を最大限に発揮し、昼夜を問わず実戦的な訓練が繰り返された。
海上自衛隊のSH-60Kヘリ3機に加え、英海軍の「マーリン」輸送ヘリやノルウェー海軍フリゲート「ロアール・アムンセン」艦載の「ワイルド・キャット」哨戒ヘリなどが人員輸送を行い、「かが」飛行甲板上でホバリングするSH-60Kからのホイスト(巻き上げ機)を使った負傷者救出訓練など、高度な航空機発着艦訓練が展開された。
本航海には英空母打撃群のみならず、米豪加諾(ノルウェー)海軍の戦闘艦や補給艦も加わり、大規模艦隊を形成していた。
だが、「かが」が佐世保沖を出航して3日目には、呼びもしていないのにさらにもう1隻が加わっていた。





