“SF不倫もの”という新しいジャンルを切り拓いた人気漫画『あげくの果てのカノン』が完結した。主人公の女の子・かのんは、高校時代からずっと、先輩・境宗介(既婚者)に熱烈に想いを寄せる。宗介は、地球を攻撃する異星生物を駆除する国民的ヒーローだ。
作者の米代恭(よねしろきょう)さんは、これまで、男性と付き合ったことがないという。
「担当さんから“不倫もの”を書いて欲しいと言われたんです。両想いになることは今でも想像できないけど、究極、既婚者に片想いしていれば成立するかなと思って(笑)」
かのんは「ストーカー」並みに過剰だ。宗介を盗撮、盗聴までする。その一途さが、やがて世界を危機に陥れる。
「かのんは宗介を“信仰”しているんです。不倫話を取材するうちに“尊敬”がいつのまにか“呪い”に変わることって多いんだなと感じました」
宗介はある意味、かのんを都合よく扱う。そんな彼を「ただのクズ」にしないためにも、SFの設定は必要だった。異星生物との戦いで抱える孤独や疲れの癒しをかのんに求めたためだ。こうして奇跡の「SF+不倫」ものが誕生した。
「描けなくて毎月泣いてました。これまでの人生が問われる作品でしたね」。持てる力の全てを注ぎ込んだ自信作だ。
※小学館より、全5巻発売中