「手書きの連絡帳=愛情」をうたう保育園には注意
「似た話ですが、連絡帳の問題もあります。たとえば『連絡は絶対に電話か連絡帳で』という方針の園には疑問を感じます。『手書きによる愛情』という美点が盛んにクローズアップされますが、保護者と保育士という大人同士のやり取りにおいてICT化をしない理由は何でしょうか。
手書きは時間的コストが非常にかかる手段であり、膨大な業務時間になります。その時間を短縮して保育に充てるほうがよほど子どもに対する『愛情』だと私は思います。またデバイスでの連絡が不可であれば、日曜日の夕方に子どもが発熱してしまった場合、保護者が月曜日の朝に連絡をすることになります。デバイスならばすぐに連絡できて情報共有が可能なのに、結果的に不便を強いていることにもなりかねないですよね」
“明るく溌剌で、現場が好きな園長”も問題
着目すべき設備以外にも、“意外とこんな保育園は眉唾”というポイントがあるのだという。その知られざる点について、近藤さんに教えてもらった。
「園長が現場に出ずっぱりで、非常に明るく溌剌として……みたいな保育園がありますよね。保護者から好意的に思われがちなのですが、これも懐疑的にみたほうがいいかもしれません。というのは、園長にはマネジメントという重要な業務があるんです。その園長が本来の仕事に十分な時間をかけず、現場に出ているのだとしたら、問題です。また、他の職員も自分の仕事に責任が持てずに他責思考になっていく可能性があります」
説明会などの場で、現場の職員がきちんと責任を果たすプロフェッショナルかどうか、試すことのできる一言があるようだ。
「保育は業務ですから、権限と責任が明確に決まっていないといけません。それがあやふやだと、無責任な職員が増えてしまいます。そんな場所に、大切なお子様を預けられるでしょうか?
もしも保護者説明会などで質問の機会があったら、『この保育園の組織図や役割分掌はどのようになっていますか』と聞いてみるのもよいかもしれません。責任の所在を明らかにして保育に取り組んでいるかどうか、すぐにわかります。現場からは煙たがられるので、“嫌われる保護者”になるかもしれませんが……」