「幸せな家庭なんてない」と思っていた彼女は、夫と娘のいる今の生活をどう感じているのか?
――「愛する」ということを、どう理解したのでしょう。
かりんこ あくまで私の場合はですけど、愛って誰かに必要とされることじゃないんだなって。自分を認めてくれる誰かを探すんじゃなくて、「この人の力になりたい」「この人を幸せにしたい」と、自然と心と体が動いてしまう。それが、愛なのかなって思っています。
――それに気付かせてくれたのが、今のパートナーだった。
かりんこ 夫と娘に出会うために、これまでいろんな実績を解除して経験値を積む必要があったんだなって思っています。今も実績解除は好きですが(笑)、以前のような強迫観念はもうないですね。
――以前は、「幸せな家庭なんてない」と思っていたそうですが、家庭を持った今、どう思っていますか?
かりんこ 私は自分の家庭が幸せだと思っています。夫と娘にも幸せであってほしいとは願っていますが、実際どう思っているか、本当のところは私には分かりません。でも少なくとも、私は2人のおかげで幸せな毎日を過ごしています。
「夫と出会って6年、感謝の気持ちがどんどん膨らんでいる」
――では、「幸せ」に気づいた今、幸せとは言えなかった過去の恋愛の話を中心に描いた今回の作品は、どんな思いで制作したのでしょうか。
かりんこ 世の中って、スカッとしないことばかりじゃないですか。ドラマみたいに勧善懲悪で、物事が綺麗に進むわけじゃない。でも、そんな“ごちゃっ”としているのが人間らしいなって。
辛いことや大変なことのほうが多いけど、時々それを忘れるくらい嬉しいことや楽しいことがある。人生ってそういうものだし、それが楽しいよねということを、今回の作品で表現したかったんです。
――あと、今回の漫画には「裏テーマ」があると耳にしました。
かりんこ ちょっと口にするのは恥ずかしいし、「商業出版を私利私欲に使うな!」と言われそうなので大きな声では言えないのですが……。今回の作品は、夫へのでっかいラブレターのつもりで書いているんです。
夫と出会って6年が経つのですが、感謝の気持ちがどんどん膨らんでいて。あなたと出会えてこれだけ価値観が変わって、マジでありがたかった、私は今あなたと娘のおかげでとても幸せ、という気持ちを何らかの形で伝えたかったんですよね。
撮影=石川啓次/文藝春秋
