元NMB48の清水里香さん(27)は、前歴にあたる“前世”を様々に持つアイドルだ。現在は、アイドル“4周目”として汗を流し、アイドルグループ「One Last Bloom」のリーダーとしてステージに立つ。

 経歴をたどると、その歩みはひじょうに濃い。子役からライブアイドル、メジャーアイドルへ。卒業後、みずからグループをプロデュースしながらも道半ばであきらめかけ、再び、メンバーとして生きようと思った波乱万丈のいきさつとは。アイドルプロデューサーとしての苦悩から、今生きる場所での覚悟を語ってもらった。(全3回の3回目/1回目から読む

清水里香さん ©深野未季/文藝春秋

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「あるメンバーの恋愛スキャンダルが発覚して…」グループ内での“裏切り”が発覚

――2023年11月のデビューから、約3ヶ月。プロデュースしたグループ「Party chuuuN!」は、早くも公式で「お詫び」を伝えました。当時、何があったんでしょう?

清水里香(以下、清水) あるメンバーの恋愛スキャンダルが発覚して、辞めてしまったんです。正確にいえば、クビになったんですけど。相手はダンスの先生でした。

 当初のメンバーは6人だったはずが、その子の影響で「彼女がいないなら、私もできません」と他のメンバーも言ってきて、結果、たった1日でグループが6人から3人になりました。

――メンバーとダンスの先生、いわば二重の裏切りに遭って、心中は複雑だったと思います。

清水 どっちも、めっちゃ怒りました。でも、ダンスの先生への怒りの方が、強かったかもしれません。運営会議で「一緒に頑張ろう」と話していたのに、みんなが必死でやっている姿を見て「どう思っていたの?」と問い詰めたんです。当時、その先生は29歳で、芸能経験も浅い20歳の子を導く立場だったはずが、線引きもできない責任感のなさにあきれてしまって。

 ダンスの先生はひたすら「ゴメン」と謝るだけで、相手の女の子が「辞めると言っているので、自分に止める権利はない」と、わけのわからない言い訳をしていたのも腹が立ちました。でも、信頼しすぎて「大丈夫だろう」と思っていた自分にも責任はあったし、2人の関係に気がつけなかった自分も悪かったと落ち込みました。

 

――しかし、悔しさを抱えながらも、自身がプロデューサー兼メンバーとなり、グループ存続を選んだんですよね。

清水 活動を続けると決めてくれた3人のメンバーが「里香さんがいないと続けられない」と、泣きながら訴えてきたんです。当時の事務所の社長からも「新メンバーが見つかるまででいいから、やってくれないか?」と念押しされました。

 メンバーとして再び、アイドルをやる気はなかったんですけど、生誕祭を控えるメンバーもいたので「残されたメンバーの人生を狂わせてしまった」という罪悪感もあったし、断るわけにはいかず、2週間ほどの準備でステージに復帰しました。