16歳が路上でカラダを売る――2010年代に記者として、立ちんぼだらけになった新宿の歌舞伎町を取材していたノンフィクションライターの高木瑞穂氏。冒頭のような異常な状況はなぜ起きたのか? 19歳と称して路上に立つ少女、華奈江(16歳)から聞き出した「衝撃の事実」を、文庫『ルポ 新宿歌舞伎町 路上売春』(鉄人社)より一部抜粋してお届けす。なおプライバシー保護の観点から本稿の登場人物はすべて仮名である。(全3回の2回目/続きを読む)
◆◆◆
「単純に遊ぶお金が欲しかった」
「別にお金に困ってたとか、家が借金まみれとかじゃない。遊び代だったり、洋服代だったり単純に遊ぶお金が欲しかったから始めたんです。それにウチはフツーの家庭ですよ。親とは……、そんなに仲がいいわけじゃないけど、ちゃんと父も母もいるし、家にも帰ってるし。家出しているコはほとんどいなかったと思います。
13歳のコも、家出ではなく『家が近いだけでちゃんと帰ってる』って言ってました。でも、同い年くらいなら私と同じような欲求で立ってるのはわかるけど、年齢を聞いて、さすがに『中1が万単位のお金を持ってどうするの?』って、やめるように言いました。
この歳だと出会いカフェに入れないし、出会い系サイトも規制が厳しくなったって聞くし、客とやりとりするのが面倒だし。もちろんヘルスやデリヘルのほうが安心だとは思うけど、働けないから路上で立ちんぼするしかないじゃないですか。少なくても1日3万円は稼げるから、洋服買えるし髪も染めれるし、余ればネイルだってできる。親? 居酒屋でバイトしてることになってます。
お金を稼ぐことなんて、カラダという武器を使えば簡単でした。1日平均2~3人とセックスして、最高14万くらい稼げました。それでもう、すぐにお金に目がくらんじゃった感じです。だって、この歳で14万って、マジありえないことじゃないですかぁ。
出勤は不定期でした。1週間に1回きりだったり、2・3回だったり。時間は18時から24時まで。12月は寒いから週1くらいしか立てなかったけど、10月、11月は週4くらいで立ってました。
出勤っていったらおかしいけど、強制ではなかったんです。好きな時間に行って、好きな時間だけ働いて帰る、みたいな。とにかく自由なんです。行ったらとりあえずヤクザの人に挨拶をして、テキトーに立って、客を引いて」
