藤本の供述によると、それから1週間後に江利佳さんが「もう生きていたくない。殺してほしい」と言うので、首を絞めて殺したという。
「オレは江利佳の希望通りにしただけ。江利佳の望むことなら何でもしてやりたいと思っていた。最初は死体を風呂場に置いていたが、臭いが気になるようになり、ベランダに移した」
「下水の臭いがするから、ベランダの窓は開けるな」
さらに驚くべきことは、のちに共犯者として逮捕されることになる元妻の藤本美幸(同23)と結婚し、その部屋で1年近く結婚生活を送っていたことだ。
「それがどうして彼女にバレなかったんだ。洗濯物でも干せば、すぐに気付かれることだろう」
「彼女とは立場が逆だった。自分が“専業主夫”として家事を担当し、彼女が外に出て働いていた。彼女には『下水の臭いがするから、ベランダの窓は開けるな』と言っていた」
その後、美幸は離婚して別のアパートに移って行ったが、離婚後も「寂しいから、家に来てほしい」などと言って、事実上、藤本と婚姻生活を継続させていた。
事件に至るまでの「驚きの背景」
事件が発覚した日、藤本は〈出て行く。荷物は全部捨ててくれて構わない〉というLINEのメッセージを残し、姿をくらました。
ところが翌日、また戻ってきて、美幸に食料品やバイクの調達を頼んだ。美幸は何も知らず、藤本の逃亡を手伝うことになった。
その後、美幸も犯人隠匿の疑いで逮捕されたが、すべての事情が明るみに出ると、美幸は不起訴処分になった。
一方、藤本は殺人罪で起訴され、3カ月の鑑定留置が決定。刑事責任能力については「問題ない」とされたが、事件に至るまでの経緯については驚くべき背景が潜んでいた。