「オレたちはヤクザだ。ショバ荒らしをしていると海に沈めるぞ!」

 ヤクザと素性を偽って、強制ワイセツを続けた2人の男。ところが、やがて手痛い仕打ちを食らうことに。2人が手を出してしまった「恐るべき相手」とは? 2009(平成21)年におきた事件の顛末をお届け。なおプライバシー保護の観点から本稿の登場人物はすべて仮名である。(全2回の1回目/後編を読む)

写真はイメージ ©getty

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被害女性に逆襲された「援交狩り男」の末路

 佐藤耕太郎(当時30)は「援交狩り」の常習犯だった。テレクラや出会い系サイトで「割り切ったお付き合い」を求める女性を見つけると、相手が望むがままの金額を了承して、会う約束を取り付け、「金は後で払う」などと言って強姦。

 行為後、「オレはヤクザだ。断りもなく、ショバ荒らしをしてるんじゃねえ。海に沈めるぞ!」などと脅して料金を踏み倒すのだ。

 幼なじみの菊池博一(同30)と組むようになってからは、さらに成功率がアップした。菊池は高校時代はラグビー部で鍛え、大学卒業後は自衛隊員になった男だった。筋骨隆々、女性に脅しをかけるにはうってつけだった。

 単独で会う約束をして、待ち合わせ場所まで早めに行って、菊池は近くで身を潜める。援交相手が来たところで、出発直前に菊池が車に乗り込み、2人で脅し上げるのだ。

「何でこんな簡単にヤレる女たちに金を払うバカがいるんだろ。世の中、バカばっかりだな。ワハハハ……」

 そんなことを繰り返しているうちに、佐藤は26歳のとき、警察に捕まるヘマをした。都市公園を通りかかったとき、タバコを吸っている女子中学生3人組を発見。「少年補導員」を装って接近し、「タバコを吸ってはダメだ。他の2人は後で調べるが、今日はお前を調べる」と言って、1人の少女を車で自宅まで連れて行き、わいせつな行為をしたというものだった。

 佐藤はわいせつ目的略取や強制わいせつなどの罪で起訴され、懲役3年の実刑判決を言い渡された。

出所から3ヶ月後でまた「援交狩り」

 29歳で出所した佐藤は、「もう少女はコリゴリ」と少女には手を出さなくなったが、また菊池とつるむようになり、出所から3ヶ月後には“援交狩り”に精を出すようになった。

 2人は援交狩りを「遊び」と呼び、「遊びに行こう」という合言葉で、テレクラの個室にこもり、佐藤が電話を受け、菊池はノートパソコンで援助交際を希望する女性のメッセージを調べ、話がついたら2人で会いに行くというパターンを確立していた。

 佐藤は女性に会うと、「助手席は水で濡れているから後ろに乗って」と言って、女性を後部座席に座らせ、そこに菊池が乱入したら、チャイルドロックでドアを閉める。暴れたら菊池が殴って大人しくさせ、自分たちが仕事で使っている事務所に連れて行き、「オレたちはヤクザだ。ショバ荒らしをしていると海に沈めるぞ!」と脅して、性行為に従わせるのである。

「ごめんなさい。何でも言うことを聞きますから、許して下さい……」

 ほとんどの女性は泣き寝入りだった。佐藤と菊池は毎日のように「遊び」に精を出し、「金を払わない記録更新」を自画自賛していた。自分たちに交際相手ができても、そういう態度は改めなかった。

 だが、そのためにとんでもないしっぺ返しを食らう日がやって来たのである。