岡山県中西部に位置する高梁市を訪れた時のこと。赤銅色の石州瓦とベンガラ色の外観で統一された町並みで知られる吹屋地区を観光したのち、市街地に戻ろうと県道300号を南に向けてドライブしていた。

ベンガラ色で統一された吹屋の町並み

突然、想像をはるかに上回る景色が

 県道ではあるものの、山間部に差しかかるとセンターラインが消え、狭い山道になる。対向車とすれ違うことはできないが、交通量は少なく、難なく走ることができた。

岡山県道300号を南に走る

 羽山渓と呼ばれる渓谷が近くなると、県道と並行する島木川との高低差が大きくなり、地形が明らかに険しくなってくる。

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羽山渓が近づいてきた

 県道にも急峻な地形が現れるようになり、山から大きくせり出した岩が、頭上にまで達している。

頭上に岩がせり出す片洞門が現れた

 恐怖を感じる人がいても不思議ではない道だが、私は普段から険しい道を走っている。躊躇せず進んでいく。

既に異世界観が漂っている

 凄いところに来てしまったなと思いながら、この先にどんな景色が待っているのかという期待感も湧いてくる心境で、ドキドキワクワクしながらのドライブだ。すると……突然、想像をはるかに上回る景色が現れた。

 数十メートルはあろうかという岩壁が、目の前に立ちはだかったのだ。

目の前に現れた絶壁

 垂直に切り立った、まさに絶壁だった。突然のことに驚くばかりだったが、絶壁に近づくにつれ「道は続いているのか……?」という疑念が膨らんできた。どこにも道が無いように見えたからだ。

 さらに近づいていくと……。