東洋一といわれた軍港の街、広島県呉市。明治22年に呉鎮守府が開庁されて以来、町は大きく発展してきた。終戦を迎えて今年で80年となるが、現在も海上自衛隊呉地方隊が置かれ、国内で最大数の艦艇が配備されている。
来場者が連日押し寄せた大和ミュージアム
そんな呉市は近年、観光客で賑わっている。人気の観光地は海上自衛隊呉資料館や大和ミュージアム、艦船を巡るクルージングなど、軍港にまつわるものが上位を占めている。これは、人気ゲーム「艦隊これくしょん(艦これ)」によるところも大きいが、戦艦大和の10分の1スケールなどが展示されている大和ミュージアムは、想定の4倍以上の来場者が連日押し寄せた。そのため空調設備が追いつかなくなるなど多くの問題が発生し、2026年3月まで長期休館して設備の大規模な改修工事を行っている。
その一方で、戦艦大和の伝家の宝刀たる46センチ砲の発射試験が行われていた場所は、とてもひっそりとしているそう。
戦艦大和は呉海軍工廠で昭和16年に建造された世界最大の戦艦だ。史上最大となる46センチ主砲を搭載していたが、終戦の年にアメリカ海軍と戦闘の末、東シナ海に沈没した。現在でも戦艦大和は人気が高く、大和ミュージアムは先述のような状態だ。
「現地まで行く道はありません」ひっそりとした亀ヶ首発射場跡
その一方で、戦艦大和の伝家の宝刀たる46センチ砲の発射試験が行われていた場所は、とてもひっそりとしているそう。
呉港から15キロほど南に離れた倉橋島の東端に位置する“亀ヶ首発射場跡”だ。
同地を訪れようと関係機関に問い合わせたところ「現地まで行く道はありません」「(現地に行くことは)お勧めできません」という回答が返ってきた。どうしてもという場合は、船をチャーターして行くしかないという。
呉軍港と戦艦大和の人気に沸く市街地とは対照的な亀ヶ首発射場跡。私はより興味をひかれた。地面が続いているのだから、道が無くても頑張れば行けるだろう。ひとまず広島に向かった。
事前に地図アプリと国土地理院地図を調べ、確かに現地に行く道がないことを確認していた。が、まずは、車で近くまで行ってみよう。
道は尾根に沿って伸びており、地図上では道が途切れていたが、実際には車道が続いていた。
しかし、道の状態は極めて悪く、道路上に土砂が堆積し、草が生え、軽自動車でギリギリの道幅しかない。ガードレールはなく、一歩間違えれば谷に転落してしまうため、慎重に運転する。
ここで一つ、問題があった。








