SNSで定期的に話題を呼ぶ“食い尽くし系”。家族全員で食べるはずの大皿料理を1人でほとんど平らげてしまったり、1人1個で全員に行き渡るお菓子があれば個数を考慮せずに多めに食べてしまったりする人々を指すという。

 今年8月、加藤ローサが離婚を発表した際にも、この言葉に注目が集まった。離婚前の1月に掲載されたインタビューで、加藤は元夫のサッカー選手の松井大輔氏について、「食べ物が目の前にあると全部食べてしまう」と話していたからだ。

 加藤の発言は多くの共感を呼んだ。社会問題化しているともいえる、家族の“食い尽くし”に悩む当事者に話を聞いた。

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 群馬県に住む齋藤美咲さん(仮名・30歳)は、結婚7年目の夫の“食い尽くし”に頭を抱えるひとり。テレビで食い尽くし系のニュースを見たときに「うちの夫と同じだ!」と思わず声を上げてしまった、と話す。

「初めはよく食べる人だな、くらいにしか思っていませんでした」(齋藤美咲さん)

席につく頃にはほとんど料理が残っていない、夫との食卓

「彼の食事スタイルについて違和感を覚えたのは、同棲中でした。たとえば、ダイニングテーブルに私が作った料理を並べて『ごはんだよー』と彼を呼びますよね。彼が来るまでのあいだに少しだけ洗い物をしていると、1人で勝手に食べ始めてしまうんです」

 彼女が席につく頃には、ほとんど料理が残っていない状況だったという。

「食べ尽くすだけでなく、食べるのも速いんですよね。一緒に食べても、私がサラダや副菜を食べているあいだに、彼はメインの肉や焼き魚を全部食べてしまうんです。そのたびに私は『なんで先に食べちゃうの!?』と怒っても、本人は無意識に食べているようでただただ平謝り。どうして食べ尽くしてしまうのか理由を聞いても、彼から明確な答えが返ってきたことはありません。最近は、自分が食べた量や個数をごまかすようになりました。怒られたくないなら、自分の分だけに留めてほしいです」

子どもが生まれても食い尽くし癖は…

“食い尽くし癖”に不満はあったものの、それ以外は真面目で優しい彼と結婚。子宝にも恵まれたが、ライフステージが変化しても食い尽くし癖は収まらなかった。

「外食中も私が子どもの食事を手伝っていると、私の料理を横取りするんです。驚いて『まだ食べるんだけど!?』と指摘すると『もう食べないのかと思った』と反論してきます。子どもが生まれてからは、娘の食べ残しを食べるようになりましたね。一見すると良さそうですが、どちらかというと食べ残しを“狙っている”感じ。朝の出勤前は、娘が『お腹いっぱい』と言うまで粘っているときがあります」

 夫がいると落ち着いて食事ができない、とため息をつく美咲さん。「これはお父さんのじゃなくて◯◯ちゃんのごはんだからね」と、子どもに言い聞かせる振りをして、夫を牽制しているという。