夕飯を終えてじっとしていられないためファミレスに隣接している公園で走り回っているというのだ。

それにしても、夜の公園である。不審者がいないとも限らない。この点について尋ねてみると、この母親はこう返答した。

「大丈夫ですよ。マンションに囲まれた地元の小さな公園で、外部から人は入ってきませんし、ファミレスの窓から子どもたちが遊んでいる様子がちらちらと目に入るので、『ああ、あそこで遊んでいるな』と確認ができますし」

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「ただ」とこの母親は声のトーンをすこし落とした。

「ネオ・ネグレクトの話を聞いて、ああ、自分は良くないことをしていたのかもしれないとは思いました。当初は『ママ飲み』の場にいても、子どもたちがいるからと考えて、わたしはお酒を飲むのを控えていたのです。ところが、いつの間にかわたしも何の疑問も持たずにお酒を飲むようになっていた。いま振り返ればという話ですが、いろいろと感覚が麻痺していたのかもしれません」

山の手エリアの母親「私たちの周りではそんなことはあり得ない」

なぜ、親同士で頻繁に集まるのだろうか。

この母親曰(いわ)く、普段は仕事をしている分、こういう利害関係のない、子どもたちを軸にしたつながりは貴重であるという。

「こういう集まりはファミレスより、むしろ互いの家を行き来したり、共用のパーティールームでおこなったりすることが多いのです。子どもたちは部屋で遊んでいて、わたしたち大人はリビングでお酒を飲んでいる。父親は夜遅くならないと帰ってこない、そんな家でまだ会話もままならない幼いわが子を目の前にしてストレスを溜めるよりも、仕事の愚痴なんかを集まったみんなに共有してもらうことで気持ちが発散できる……それってある意味健全ではないかと思うのです。まあ、ある種の言い訳かもしれませんが。ちなみに、ファミレスで集まって飲むのもその延長上ですよ。外で食事をすれば、子どもたちに広い遊び場を提供できる、そういう思いがありましたね」