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北斎の没年は嘉永2年(1849)、90歳で世を去っているのです。ちなみに北斎の死の4年後にアメリカのペリー艦隊が浦賀に来航します。
死に臨み、北斎は大息、つまり大きなため息をついたといいます。そして「天我をして十年の命を長ふせしめば」(天が私に10年の命を与えるならば)と語ります。その後で「天我をして五年の命を保たしめば、真正の画工(絵描き)となるを得べし」(天が私の命をあと5年伸ばしてくれたならば、真正の画工になってみせる)と話し、そのまま亡くなったのでした。北斎の胸中では、自らはまだ「真正の画工」ではなかったのです。謙虚でありますし、向上心の塊とも言うべき北斎の臨終の言葉です。
参考文献
・尾崎周道『北斎 ある画狂人の生涯』(日本経済新聞社、1968年)
・飯島虚心著、鈴木重三校注『葛飾北斎伝』(岩波書店、1999年)
濱田 浩一郎(はまだ・こういちろう)
歴史研究者
1983年生まれ、兵庫県相生市出身。歴史学者、作家、評論家。姫路日ノ本短期大学・姫路獨協大学講師・大阪観光大学観光学研究所客員研究員を経て、現在は武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー、日本文藝家協会会員。歴史研究機構代表取締役。著書に『播磨赤松一族』(新人物往来社)、『超口語訳 方丈記』(彩図社文庫)、『日本人はこうして戦争をしてきた』(青林堂)、『昔とはここまで違う!歴史教科書の新常識』(彩図社)など。近著は『北条義時 鎌倉幕府を乗っ取った武将の真実』(星海社新書)。
歴史研究者
1983年生まれ、兵庫県相生市出身。歴史学者、作家、評論家。姫路日ノ本短期大学・姫路獨協大学講師・大阪観光大学観光学研究所客員研究員を経て、現在は武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー、日本文藝家協会会員。歴史研究機構代表取締役。著書に『播磨赤松一族』(新人物往来社)、『超口語訳 方丈記』(彩図社文庫)、『日本人はこうして戦争をしてきた』(青林堂)、『昔とはここまで違う!歴史教科書の新常識』(彩図社)など。近著は『北条義時 鎌倉幕府を乗っ取った武将の真実』(星海社新書)。
