『ジュラシック・パーク』も「ファンとして楽しませてもらっています」
――恐竜の研究をされている方は、『ジュラシック・パーク』のようなフィクションも楽しめるのでしょうか?
田中 「これは間違ってるぞ」と思うことはたくさんありますが、それもまたよしというか、あまり気にしないですね。それよりも、恐竜の番組や映画を作ってくれることがすごくうれしいです。
CGでリアルに復元してくれることで、恐竜が好きな人が増える。そこから研究者を志してくれる人が出てくれば、いいサイクルになる。私たちもいちファンとして、楽しませてもらっています。
――話題のジャングリア沖縄もそうですが、恐竜ってずっと人気がありますよね。
田中 日本で生活していると、至るところで恐竜を目にするんですよね。日本人は生き物や妖怪などを愛でる延長線上で、恐竜を見ているんじゃないかなと感じます。さまざまな形をしたいろんな種類の恐竜がいて、カッコいいものとかわいいもの、強さもそれぞれだったりして。ちょっとポケモンに惹かれるのに似ているのかも。
それに加えて、日本は恐竜の化石が外国ほどは見つかっていないので、より一層憧れを抱くというか、ないものに対する興味も強いのかなと思います。
恐竜の魅力は「永遠に答えがわからないところ」
――あらためて、田中先生が思う恐竜の魅力も聞かせてください。
田中 永遠に答えがわからないところですね。タイムマシンがない限り答えにたどり着くことはできないので、研究者は新しい発見をもとに仮説を立てていく。それは子どもだろうが大人だろうが同じで、「僕はこう思う」というのが通用するんです。答えがわからないからこそ、みんなで一緒に恐竜を楽しむことができる。それは恐竜研究の醍醐味のひとつだと思います。
こんなに恐竜のことを考えているのに、恐竜が生きている時代の夢を見たことがないんですよ。いつか“恐竜のお化け”が出てこないかなとも思うけど、未だに出てきたことがないし、会ったという話も聞いたことがないです(笑)。
――研究のスピードは、どんどん速くなっていますか?
田中 すごく速くなっています。世界的に研究者の数が増えているし、論文もものすごい勢いで出ていますね。さらにはAIの力も加わって、時間短縮に拍車がかかっていると思います。恐竜の体の色も鳴き声も、今までわからなかったことがここ10年、20年でどんどんわかるようになってきている。新しい発見が次々に生まれることも、この研究の面白さだと思います。
