恐竜について、まだほんの一握りしかわかっていない
――長年、恐竜の化石は発掘され続けているわけですが、掘り尽くされることはないのでしょうか?
田中 実はこの10年、毎年40種くらいの新種恐竜が報告されています。だいたい10日から2週間に1つのペースで、新種が見つかっていることになるんですよね。なので、今10歳の子が20歳になるまでに、約400種見つかる計算になる。恐竜図鑑がもう1冊必要になるくらい、ものすごいペースです。
恐竜は1億7000万年間にわたって繁栄していましたが、今見つかっているのはたったの1400種。これはとても少ないと思います。現在生きている鳥だけで、1万種もいるのですから。
そう考えると、恐竜はまだほんの一握りしかわかっていなくて、むしろ謎のほうが多いと思います。子どもたちが大人になる頃にはもっと謎が増えているかもしれないし、新種もどんどん見つかり続けると思うので、まったく心配する必要はありませんよ。
「子どもたちの純粋な好奇心って、まったくバカにできません」
――恐竜研究者の世代や年齢層はどうですか?
田中 若手の研究者は世界的に増えていますよね。私は、日本の子どもたちは、特に恐竜に詳しいと思います。たとえば講演会をしても、子どもたちは「それ知ってる! 私も話したい!」という感じで、アピールしてくれます。隣にいる親御さんはポカンとしているっていう(笑)。情熱のある子が本当に多くて、恐竜研究の未来は安泰だと思います。
――子どもたちに驚かされるようなことも?
田中 僕はラジオで子どもたちの質問に答える番組をやっていますが、なかには研究者のような質問をしてくる子もいるし、逆に「そのアイデア、すごく面白いな。研究に使えるんじゃないかな」と思うような質問もたくさんあります。
子どもたちの純粋な好奇心って、まったくバカにできません。子どもたちが考える質問ほど、いまだ解けていない謎だったりもするので、できる限りそれに答えられるようにしたいと思っています。
――では、今後の夢や目標は?
田中 まずは、今やっている研究をしっかりとやり遂げること。そうすることで、恐竜の繁殖研究が、一つの研究領域になってくれたらうれしいですね。それから、私は人に恵まれて研究者になることができたので、ここからは次の世代の方々に力を注いで、新しい研究者を育てていくことも大きな目標です。
人類による恐竜研究は、まだ始まったばかりです。
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