ギネス世界記録に認定された“世界最小”の恐竜の卵化石を発見した田中康平博士。9月7日に放送されたNHKラジオ『子ども科学電話相談』では、「鳥みたいな恐竜と鳥みたいな鳥の違いはなんですか?」という子どもからの鋭い質問に、回答者として出演していた田中博士がヒートアップ。「2時間喋っていい?」と声を弾ませる田中博士に、SNSでは「神回」との声が上がった。
かつての“恐竜好き少年”は、どのようにして“恐竜博士”となったのか。カナダでパンクロッカーと同居した留学時代から、研究者としての日常まで、人間味あふれる博士の素顔に迫った。(全2回の2回目)
実際には読み書きがメイン、発掘調査は年に1回
――カナダで博士号を取得されて、今は筑波大学の准教授をされているんですよね。
田中康平(以下、田中) 帰国してから名古屋大学で2年ほど研究員をして、運良く筑波大学の公募が出たので6年前に赴任しました。今は授業や学生指導、本の執筆や講演会など、楽しいけれど忙しい日々を送っています。もちろん、研究もこなしています。
ただ、これからは私が指揮者、学生が奏者となってチームで研究ができる。学生とともに研究を行うことは新しい挑戦ではありますね。
――「思い描いていた恐竜博士とは違う」というギャップはありますか?
田中 恐竜研究には発掘のイメージが強いと思いますが、これはほんの一部で、基本的には論文を読んだり書いたりする作業が9割。僕も「外国のいろんなところに出かけて発掘できる」と思っていたけれど、実際には読み書きがメインで、すごく地味な仕事だと思います。
――今はどのくらいの頻度で化石発掘に足を運んでいるのでしょうか。
田中 年に1回、2週間ほど発掘調査に出かけています。それでも、自然の中で化石を探すのはやっぱり楽しいですね。
「どこかに埋まっている化石を見つけ出すぞ」という宝探し的なワクワク感があって、本当にドキドキします。「見つからなかった」ということも多いですが、時々すごい発見があったりすると、それほどうれしいことはないですね。
