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脳梗塞などの原因となる血栓を溶かす力

これからの季節はロックが美味しい。

 脳梗塞や脳卒中、心筋梗塞や虚血性心疾患などを予防する効果は、すでに証明されている。これらの病気は、血液中にできた血栓をうまく溶かせないために起こるが、

「血栓症の研究を専門とする倉敷芸術科学大学の須見洋行名誉教授が、本格焼酎は血栓を溶かす酵素を活性化させる一方、血栓を作る働きを抑えると突き止めました。いわゆる“血液サラサラ効果”ですね」

 血栓の主成分フィブリンの分解を促進するウロキナーゼという酵素の働きを本格焼酎が活性化させる。

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下の表で示したのは、須見名誉教授の研究データの一部だ。アルコール量を同じにした四種類の酒をそれぞれ飲んだ人と、酒を飲まなかった人を比較したところ、身体にいいとされるワインよりも本格焼酎のほうが、血栓溶解力を上昇させたことがわかる。

 認知症の予防も期待できる。身体全体の血行がよくなって血液がサラサラになれば、脳血管で生じる一種の血栓によって起こる認知症が防げる、という理屈だ。

「本格焼酎は世界でただ一つ、一回だけの蒸留で作る酒です。連続蒸留すると原材料の持つ香り成分が消えてしまうのですが、本格焼酎には芋や黒糖などの原材料と麹が独特の香り成分として残ります。この香り成分だけでも、ストレス解消や、血栓の溶解に効果があると言われています」

泉重千代さんに学ぶ健康維持の適量とは

 本格焼酎は、ほかの酒に比べてカロリーが低く、無添加で、糖質やプリン体はゼロ。善玉コレステロールを増やす効果もある。ウイスキーやブランデーなどの蒸留酒と違って食事に合うから、食べながら飲む点も身体にいい。

 健康志向を謳う酒が人気の昨今だが、本格焼酎はそんな流れを先取りした優れものだ。

「ただし、飲む量が肝心です」 と、濱田理事は釘を刺す。

「個人差もありますが、ほろ酔い程度の百二十ミリリットルが適量だといわれます」

 これは、五対五のお湯割りにすればグラス一杯プラス三分の一程度。あまりに殺生ではないか。

 健康を維持しながら百二十歳とされる長寿を全うした泉重千代さんは、毎晩の黒糖焼酎を欠かさなかった。だが、水を加えてから燗をつけて飲む焼酎の量は百三十ミリリットルだったというから、やはり見習うべきか……。

写真=深野未季