TENGAとスマホで不妊治療?
―― 不妊治療についても取り組まれていると伺いました。
西野 妊活世代向けに、「メンズルーペ」という商品をTENGAヘルスケアで出しています。精子の状態を自分のスマホで観察できるキットで、「男の妊活のはじめの一歩」というキャッチコピーをつけているんですけれども。
男性由来の不妊というものがそもそもまだ認識があまりされていないのですが、まず自宅で見てみて、何か問題があったら病院に行ってください、という商品です。
―― 「不妊治療」というと堅いイメージですが、これは気負わずできそうです。
西野 とっつきやすさはすごく大事にしていて、TENGAヘルスケアでは困っている当事者の方と医療機関の間をつなぐような役割も果たしたいと考えています。お医者さまたちからも、どうしても伝え方が堅すぎてしまったりして、うまく若い人たちに発信できない、というようなお声もいただいてまして。
ありがたいことに、TENGAって今、20~30代の男性の認知度が80パーセントぐらいあるんです。ですので、TENGAを入り口に、「おもしろそうだな」と入ってきていただいて、しっかりとした情報を伝えて「自分たちにかかわることなんだ」と当事者意識を持っていただくようにしています。
性への意識が変わることで「生きやすく」なる
―― 今後、日本の性に関する文化がどう変わるのが理想的だと思いますか?
西野 性の話を、何でもかんでもタブーの箱に入れないでほしいと思います。自分の体を守るために必要な情報や、自分が性的な喜びを楽しむために必要な情報も、全部タブーにしてしまうと、問題や悩みがいつまでも解決されない。
どういった情報は出さなくてもよくて、どういった情報は発信したほうがいいのかを考えられるような社会になっていったら、性に関する悩みも減るんじゃないのかなと思います。
工藤 小さい頃から感じていた、マスタベーションに対する罪悪感がなくなったときにすごく「生きやすいな」と思ったんですよね。マスターベーションはしても、しなくてもいいこと。するのなら、それはセルフケアの一つだから、安心してやってほしいなっていうのは伝えていきたいですし、そんな認識が「当たり前」の世界になったらすごくうれしいなと思います。
写真=鈴木七絵