池脇さんは昔も今も、自分の姿が他者からどう見えるかについて、まったく気にしていない様子。その価値観やスタイルを知ったうえで「その女、ジルバ」や「ばけばけ」の彼女を見ると、とても腑に落ちるでしょう。
ただ、それは役者という仕事をないがしろにしているということではなく、むしろ彼女の役者への思いはとても強いのです。
池脇さんの父親が大の映画好きで、その影響から幼稚園の頃にはすでに将来は女優になりたいと思っており、中学生の頃には役者になるために地元・大阪を出て上京しようと考えていたといいます。映画デビュー作『大阪物語』でいきなり主演に抜擢された際、厳しい映画の世界に飛び込んでいくことに対しての覚悟は、「映画に入る前には決まってましたね」「映画の現場は素人の行くところじゃないと思ったんで」と断言(「MORE」2006年10月号)。役者業への信念の“強度”がハンパないのです。
22歳でのベッドシーン「撮ってくれないんだったら…」
池脇さんが清純派から脱皮した作品として知られているのが、2003年に公開された映画『ジョゼと虎と魚たち』。
彼女が演じたジョゼは足に障害があって歩くことができないものの、関西弁で毒舌を吐きまくるエキセントリックなヒロイン。妻夫木聡さん演じる普通の大学生・恒夫と恋仲になり、ベッドシーンが描かれます。一糸まとわぬ姿で演じたそのシーンについて、当時のインタビューでこう語っていたのです。
「まだ若いし、変な意味にとられがちだし、スゴい葛藤はあったけど、この脚本を読んでそのシーンがないと始まらないって」(「週刊プレイボーイ」2003年12月2日号)
「あのシーンを撮ってくれないんだったらわたしは出なかったと思う」(「ピクトアップ」2004年2月号)
じつは、池脇さんの役者観も人生観も、昔からなにひとつ、変わっていないのではないでしょうか。




