暴行事件が起きたレンタルルームは歌舞伎町にあったが、この時点でもあきこさんから「トー横」という単語は出なかったという。
それでも被害届が無事受理されて捜査も進む中で、浩三さんは「Aが逮捕されるのは時間の問題、これで一安心」と思っていたという。
心中の3日前、3月23日にも浩三さんとあきこさんは連絡を取りあっている。
「他愛もないLINEでした。パソコンの調子が悪かったようで『どうやって操作すればいいの?』というものでした。いくつか方法を提案したら『解決したから大丈夫』と来て、『はいよ』と返しました。なんてことない普通の会話でした。あれが最後だと思うと、もっと会話したかった……」
「なんで16歳の女の子がこんな酷い死に方を…」
しかし2023年3月26日朝、通勤途中の浩三さんのスマホに母から電話がかかってきた。
「大変なことになった、とにかく(横浜の)戸部警察署へ行って」
そう聞いた浩三さんの頭は真っ白になった。
「生死不明でしたが、あきこにLINEを送っても返信はなく、病院ではなく警察というところで嫌な予感しかありませんでした。すぐに妻に連絡して、車で現場から近かった戸部警察署へ向かいました。不安と、嘘であってほしいという気持ちで頭がいっぱいで現実感がなく、夢なら覚めてくれと思っていたのですが……」
警察署に着くと、対面できる状態になるまで5時間近く待たされた。
「警察署について刑事さんと話をして初めて死亡を知らされました。遺体を見ると、やはりあきこでした。自分の中が全て崩れ去った瞬間でした。『なんで16歳の女の子がこんな酷い死に方をしないといけないのか?』『絶対に真相を解明してやる』と頭の中がぐちゃぐちゃでした」
当日、あきこさんとAは自殺しようとしているところを目撃され、警察署に通報が複数あり、まもなく警察官が現場のホテルに駆けつけたが、すでに2人は亡くなっていたという――。
「心中ではあるのですが、お互いがお互いを殺した“殺人事件”の被害者として扱うとも言われました」
「死体検案書」にも「自殺」扱いではなく「その他および不詳の外因」となっていた。
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【厚生労働省のサイトで紹介している主な悩み相談窓口】
▼いのちの電話 0570-783-556(午前10時~午後10時)、0120-783-556(午後4時~同9時、毎月10日は午前8時~翌日午前8時)
▼こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556(対応の曜日・時間は都道府県により異なる)
▼よりそいホットライン 0120-279-338(24時間対応) 岩手、宮城、福島各県からは0120-279-226(24時間対応)
