「来るもの拒まず去るもの追わず」の精神を受け継いでいる
――経営者として大切にされていることは?
柴咲 『スキャンダルイブ』でも描かれていますけど、結局は人間性なんだよなぁ。おそらく井岡さんも私と同じ心境だと思うけれど、自分が「信頼される大きな人間」になれるかどうか、試しながらやっているところがあります。
――井岡さんはタレントから信頼されるとともに、「タレントを信じる」社長でもありますよね。そこもトップに立つ人間としては欠かせないポイントなのかなと。
柴咲 もちろん、どこが信じられる要素か、本当に疑う余地はないのか、分解していく必要はあるでしょうね。でもきっと、井岡さんは「信頼に足るかどうか」を直感的にわかっていたと思う。「これまでの君を知っているから」という積み重ねもありますし。だから、スキャンダルが露呈して大事件になろうと“タレントに寄り添い続ける”選択ができたんじゃないかな。
じゃあ自分が同じように振り切れるかと言ったら、意外とドライなところがあるからな(笑)。スキャンダルはともかく、タレントが自分の意志で「退所したい」と言うなら引き止めないかも。スターダスト時代の育ての親、藤下さんの方針も「来るもの拒まず去るもの追わず」だったんです。私もその精神を受け継いでいます。
――去るもの追わず、とのことですが、未練は生じないんですか?
柴咲 ない。去りたいんだったら、もう未練を残す意味がない!
悪しきブラック契約はなくしていかなきゃいけない
――相手の意志の尊重でもありますね。「あなたがそう決めたのなら」という。
柴咲 そう。結局は人対人の関係性ですけど、遺恨なく卒業していってほしいし。あとはやっぱりね、業界としては色んなチームやプロダクションがあって、ちょっとがんじがらめな部分もあったと思うんですよ。そういう悪しきブラック契約はなくしていかなきゃいけない。
――以前、「原色」の撮影でお世話になったプロダクションの代表が「芸能界はクソに満ちた肥溜めで、俺たちはその中で一筋の光を探しているんです」とおっしゃっていました。柴咲さんがよく唱えている「不屈の精神」という言葉からも、業界の暗部を勝手に想像してしまいます。

