「一人が好き」でも「甘え上手になりたい」

柴咲 あはは、まぁね、有象無象ですよ。ただ私はね、一人が好きなんで。つるんで生きていないから。それこそ16歳でスターダストにレッスン生として所属した時から、集団行動が無理で。そもそも学校にもなじめなかったのに、ここへ来てまたアイドルグループみたいな感じでみんなで何かを作り上げるなんて、決定的に「向いてない‼」って。

 それで早々にマネージャーの藤下さんに「私、向いてない」って打ち明けたら「あぁ、いいよ。じゃあ抜ければ」ってあっさり(笑)。3カ月で辞めました。「我慢してやりなさい」と強要されなくて、ありがたかったというか「よかったぁ」みたいな。

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――「一人が好き」とのことですが、群れずにやっていく厳しさは感じませんか? 強者に与しない者への風当たりというか、芸能界の第一線でぶれない芯を通し続けるのは、ものすごく困難なのではないかと想像します。

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柴咲 何人かに言われましたよ、「よくそれでやってこられたね」って。『スキャンダルイブ』の井岡さんも、したたかになりきれない、ちょっと不器用なところがあるんですよね。そこは自分に似てるかも。

――ご自身の信念を曲げられない、ということ?

柴咲 うん、そう。甘え上手になりたいな、みたいな(笑)。したたかに立ち回るって、ある意味の賢さだと思うんですよね。自分にはできないぶん、余計に「すごいなぁ」と思う。他の誰かに迎合するのは得意じゃないから。

――グループレッスンを3カ月で辞めたほどですもんね。

柴咲 そう。「なのにこの芸能界でよくやってきたね」と言われたら、「確かに!」としか言えない(笑)。でも、そんな16歳が大人になって、これからも歳を重ねて、この色々と狭い業界に居続けるのも意味があるし、誰かの居場所になっていけるかもしれませんよね。「こういう人がいても面白いじゃん」と思ってもらえたらいいな。

「スキャンダルイブ」©AbemaTV,Inc,

最近、座ることを覚えました(笑)

――俳優、歌手、経営者と多忙を極めていらっしゃいますが、息抜きの時間は?

柴咲 今まで私、家に帰っても座らなかったんですよ。睡眠は8時間くらいちゃんととることもあるんですけど「それ以外は動いていないと!」って、ずっと立ち働いていて。

 だけど最近、座ることを覚えたんです(笑)。一人掛けのソファを買って、そこに腰かけてドラマを観るのがめちゃくちゃ癒し。「あぁ、時にはこういう安らぐ時間も必要なんだなぁ」と思えるようになってきました。

〈プロフィール〉

柴咲コウ 8月5日生まれ。東京都出身。俳優・歌手・レトロワグラース株式会社代表。エンターテインメント事業の展開に加え、「旅するように暮らす」をコンセプトとしたサステナビューティーファッションブランド「MES VACANCES(ミヴァコンス)」のディレクションを手掛ける。
最初から記事を読む 「今、芸能界は過渡期にあるのかなと思うんです」柴咲コウが見た業界の“行き過ぎた面”「どの業界にも“恩返し”をする文化はあると思うんですけど…」

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