民家の倉庫へ計6回侵入

 瀬美温泉は北上駅から西へ約17キロの地点にある。実はこの間、温泉から約9キロ下った和賀町岩崎でも、雌のクマが民家の倉庫に10月2日から計6回侵入し、11日に駆除されていた。民家の主が語る。

「最初は倉庫のガラス戸を破り、周囲を血だらけにしながら1トン入る袋を裂いて玄米を食べていた。その後、倉庫を塞ぐために軽のバンを入口に置いたが、ボンネットを泥足で乗り越えて侵入していた」

 強烈なエサへの執着だ。

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別の個体が捕獲された倉庫
倉庫には木の破片が ©文藝春秋

クマが向かってきたときの対処法

 クマの生態に詳しい岩手大学の山内貴義准教授が解説する。

「クマは基本的に草食で、弱った動物や死体は食べますが、生きた人を捕食するケースは稀です」

 それでも今回のように人に向かってくる場合、どう身を守ればよいのか。

「クマは河畔の林や線路脇に生い茂った草に身を潜め、人里に現れる。例えば100メートル先にクマを見つけたら大声を出して刺激せず、静かに後ずさりしてください。街中で見つけたら車や建物に隠れる。また顔を狙われやすいので、逃げる余裕がなければうつ伏せになり、腹部や(くび)など急所を守ってください」(同前)

 活動期はしばらく続く。

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