こめかみを撃ってもしばらくクマは動いた
午前9時10分、先頭のハンターが河畔の雑木林を上った直後、乾いた3発の銃声が鳴った。
「ハンターが目の前の草むらで動くものを見つけたので構えると、驚いたクマが土手を5メートルほど駆け上がった。クマと目が合って、こちらに向かってくる素振りを見せたところを射撃。ハンターは『殺られるかと思った』と話していました」(冒頭のハンター)
最初の頭を狙った1発のみが左のこめかみのあたりに命中していた。クマは土手をゴロゴロと転がり、下に横たわる人の遺体と重なるようになって息絶えた。
「こめかみを撃ってもしばらくクマは動いた。動物よけの轟音玉を鳴らしてから林に入ったのですが、クマは動じておらず、被害者のご遺体に執着して留まっていたようでした。ご遺体はうつ伏せに横たわり、クマの爪で深く引っ掻かれた傷が見えました」(同前)
胃からは人の頭髪や顔の一部が…
その後、クマの解剖が行われた。胃からは人の頭髪や顔の一部が見つかったという。植物は一切出てこなかった。解剖に参加した前出の鶴山氏がいう。
「クマの肉を裂くと、本来この時期5〜10センチ厚みがあるはずの脂肪がまったくついておらず、冬眠に耐えられないのではと思った」
猟友会関係者らによる戦慄証言。今夏の猛暑と雨不足で、山中では今、クマの脂肪源とされるブナの実などが大凶作という。それゆえ人食いクマになったのか。
Aさんの発見より9日前の10月8日には、温泉から約2キロ離れた山中でキノコ採りに入った男性Bさん(73)の遺体が見つかった。
「瀬美温泉と同一個体のクマが襲ったとみられている。遺体はバラバラで、当初、性別が判別できなかった」(前出の警察関係者)

