「JRの京浜東北線と地下鉄の三田線を使っているのですが、京浜東北線を降りたあとにどの電車に乗り継ぐのか分からなくなって。5分もしないで元に戻ったけどパニック寸前だった」

 おそらくこれはうつ病だと思い、パソコンで「うつ病の症状」を検索してみた。

 憂うつ、気分が重い、気分が沈む、不安になる、集中力がなくなる、眠れない、食欲がない、疲れやすい、表情が暗いなどと出てきて自分が抱えている症状と一致していた。

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「これはもう病院に行くしかないと覚悟を決め、まず家族全員がお世話になっている総合内科のクリニックに行きました」

 内科的な検査をいくつか受けたが問題なし。メンタルの不調が原因だろうということで、精神神経科のクリニックを紹介してもらったという次第だ。

「問診、自己診断テスト、脳波検査などの検査をやり、先生から告げられた病名は単極性うつ病です。性格が発症に関与している可能性が高いということでした」

なぜうつ病になったのか?

 仕事熱心、几帳面、責任感が強い、何事も徹底しないと気が済まない。こういう気質だと仕事の失敗や対人関係のもつれなどが引き金になって発症することがあるという説明で、自分に重なることが多いと痛感した。

「休職するため、妻に診断書を会社へ届けてもらったのですが、情けなかった。でも、もう身体を動かすのも辛かったから仕方ない」

 診断が確定して治療に入ったが、最初の3週間は薬を飲んでもあまり効果がなかった。

「処方された薬は抗うつ剤、抗不安剤、睡眠導入剤の3種類です。日中は太陽光に当たるのも効果が期待できるということだったけど、あまり改善しなかったな」

 特に睡眠障害がしつこく、就寝前に薬を飲んでもまったく効かず、明け方になって2時間ぐらいウトウトするのがいいところ。

写真はイメージ ©getty

「どうして眠れないんだと癇癪を起こし、壁にコップを投げつけたこともありました。眠れないのは本当に辛いものです」

 週のうち1、2日だが身体を動かすのが苦痛に感じることもあった。