からあげの町にケンタッキーが…?

 この頃には町の中心は郊外のロードサイドへと移っており、ゆめタウンも駅からのお客を当て込んでというよりは、広大な駐車場を抱えてクルマで訪れるお客をターゲットにしているのだろう。

 

 ちなみにこのゆめタウンには、中津市内で唯一というケンタッキーフライドチキンが入っている。そう、本来の目的、中津はからあげの町。おかげでケンタッキーは中津で苦戦を強いられたという。

 はじめてケンタッキーが中津に進出したのは1990年のこと。地元のからあげ店は脅威に感じたというが、敗れたのはケンタッキーの方だった。売り上げ不振を理由に1995年に撤退。以後、中津では「からあげがケンタッキーに勝った」と言い伝えられてきた。

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 そんな中、2007年になってゆめタウンへのケンタッキー出店だった。開店当初は上々の売り上げ、いまも営業しているあたり、それなりに繁昌しているのだろう。

 というか、ケンタッキーとからあげ、どっちを食べようかと選ぶようなものなのか。なんだか別物、といった印象があるのですが、みなさんはいかがでしょうか。

からあげ店には辿り着けず…

 ともあれ、中津はいまもからあげの町。戦後まもない時期、食糧難対策で養鶏が奨励された中で、満州から引き揚げてきた人が本場・中国風のからあげを伝えたのがことのはじまりだとか。

 以後独自の改良を重ね、1970年代から専門店も増えてゆく。工業都市だったのも、パンチのあるからあげが好まれた理由だろうか。

 

 その頃にはすでに町の中心は郊外のロードサイドへと移りつつあった。だから、いまでも中津のからあげ店は駅周辺よりは郊外の国道沿い。なんとか本場のからあげを、駅前や駅ビルで食べられるような設え、していただけると助かるなあと思った次第である。

 まあともかくこと中津駅に限って言えば、花より団子、からあげより諭吉先生。諭吉先生が1枚あれば、からあげなぞいくらでも食べられる……などといったら、さすがに無粋に過ぎるといったところでしょうか。

 

撮影=鼠入昌史

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