一流商社マンの父と翻訳家の母のもとに生まれ、名門・桜蔭学園を卒業。絵に描いたようなお嬢様として育った女性かぐらさんが、現在人生を捧げているのは、まさかの競馬。武豊騎手の大ファンとして、世界各国を駆け巡る彼女はいかにして形作られたのか。意外な足跡を追う。

2018年1月7日、京都競馬場パドックで横断幕を掲げるかぐらさん。コロナ禍以降は中央競馬場での横断幕掲示は禁止となった

◆◆◆

学校のテストで100点以外を取ると怒られる家庭で

――かぐらさんは超名門進学校として知られる桜蔭学園中学校・高等学校のご卒業と伺いました。どのようなお子さんだったのでしょうか。

ADVERTISEMENT

かぐら 図抜けたお金持ちなどではぜんぜんありませんが、ありがたいことに、お金の面で苦労したことはない幼少期だったと思います。父は一流国立大学を卒業後、有名な総合商社に勤務した人で、母は有名大学を卒業して翻訳家として働いていました。

 小さい頃から学校のテストで100点以外を取ると怒られるので、なんとなく勉強はしておこうかな、くらいの子だったと思います。

――「なんとなく勉強はしておこう」で女子御三家の筆頭である桜蔭学園に受かるものでしょうか。

かぐら どうなのでしょう。ただ、勉強面でそこまで大きな苦労はしませんでした。覚えているのは、小4くらいのある日、母に連れられて四谷大塚の模試を慶応義塾大学で受けたことですね。当時は1万人ほどが受験して、四谷大塚の正会員になれるのは1割くらいだったのですが、運がいいことに正会員に選んでもらえて。しかも国語は全国で3位だったんですよね。受けた自分のほうがびっくりしてしまって(笑)。

――桜蔭での生活はいかがでしたか。

かぐら 楽しかったですよ。一般に言われているように“切れ者”も確かにいるにはいましたが、偏差値の高い子だけではなくて、Going My Wayな子も多くて、みんな好きなことに一生懸命な感じが心地よかったです。

――その後、津田塾大学を経てハワイ大学音楽学部に進学しますよね。

かぐら 3歳の頃からピアノを習っていて、大好きだったんですね。桜蔭の先生方もみんな「あなたは音大に行くのよね」という感じでしたし、私もそう思っていました。けれども父は大反対(笑)。「桜蔭まで行ったんだから4年制大学へ行け」という感じで。

 それならと思って英語も好きでしたから、英語教育に定評のある津田塾大学を選んで、その後に、英語が使えるハワイ大学音楽学部へ進学したという具合ですね。

――いわゆるお嬢様のようなキャリアを歩んでいるかぐらさんが、どのようにして競馬に出会ったのか気になります。