息子との“意外な関係”
――キズナが制した同年の日本ダービーではなく、毎日杯というところが通ですね。
かぐら ダービーはダービーで勿論感激でしたよ。ただ、私の中では毎日杯、京都新聞杯の延長という感覚で、「勝てるんじゃないかなぁ」と勝手に思い込んでいた部分がありました。
ただ、毎日杯は、あの落馬事故の悪夢がどうしてもよぎってしまうレースですから。あれから3年経って、「あぁ、ようやく毎日杯で勝ったんだな」って思えたのが大きいんだと思います。こうして話している間にも、涙が出てくるほどです。阪神1800mの第4コーナーを曲がったところのあの切れ目は、今でも通るときにドキッとすることがありますから。
――相当な武豊さん愛だと思うのですが、かぐらさんのご家族はどういった反応ですか。
かぐら 実は私は24歳くらいのときに結婚をしていて、すぐに息子を出産しているんです。それから20代のうちに離婚をして、これまで息子と2人で暮らしてきました。子どもが高校生くらいのときには、現在のように武豊騎手を追って世界中の競馬場に出かけていましたね。
振り返ると、息子が嫉妬していたような時期もあったと思うのですが、大学生くらいになると、彼も競馬が好きになって、競馬場でばったり遭遇したり。彼の友人のぶんの席を取ってあげたりして、お互いに競馬という共通の趣味がある良好な関係です。
――いずれは武豊さんが引退してしまう日が訪れると思います。どのように考えていますか。
かぐら 引退……。きっと武豊騎手も考えていないと思います。なので、私も考えたことがないんですよね。
ただ、いまの段階でこれまでを振り返って思うのは、武豊騎手がこの年齢まで第一線で騎手として輝くことは当たり前でないですし、私自身も心身ともに健康で、その姿を追い続けられたのがありがたいことだなと。
武豊騎手と同年代の騎手のほとんどが引退をしているなかで、引退した騎手を応援していた仲間は競馬場に来たり来なかったり、まばらになってしまったからこそ痛感します。いまは応援させてもらえる時間が長いことに、ただ感謝しています。
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