日本を代表する名ジョッキー、武豊氏の応援のために教員を辞職――。
以来、15年間に渡って国内外すべてのレースに駆けつける女性がいる。かぐらさんだ。少なく見積もっても1500万円はかかっているという費用、過酷な移動をものともせず、「世界一のジョッキー」への信念を貫く彼女の熱意に迫る。
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37年間、武豊のファンを続ける女性
――かぐらさんは武豊さんのファンということですが、いつからのファンなのでしょう。
かぐら 1988年、当時デビュー2年目だった武豊さんがスーパークリーク号で菊花賞を制して以来なので、かれこれ37年間のファン歴ですね。
当時、私は大学生だったのですが、モラトリアム真っ只中で。同い年ですでに一世風靡の大活躍をしていた武豊騎手が一種の憧れといいますか、大きく言えば人生について考えさせてくれるような存在に感じられたんです。
――そこから37年もの間、ファンであり続けるのもすごいですね。なにか理由があるのでしょうか。
かぐら ご自身が思ったことを率直に言葉にされ、しかも、その言葉通りの結果を積み重ねてこられている姿に魅了され続けているからですかね。
デビュー時からそうでした。「武邦彦の息子と呼ばれるのではなく、父を武豊の父と呼ばせてみせます」という趣旨の発言をしていて、私は「すごいことを口にするなぁ」と思っていましたが、実際に有言実行しているじゃないですか。
反発を招くのではないかという発言があっても、実績で周囲を納得させて。ここまで徹底できるアスリートは、一流選手のなかにもそうはいません。
――ここ15年ほどは出場されるほぼすべてのレースに行かれているそうですが、本当ですか。

