かぐら 実は会うこと自体はこれまでもあったんです。ただ、土日の移動中、騎手は一般客と接触することを禁じられていますし、私は話しかける等の行為を一切しません(*)。こちらから会釈をするだけにしているので、競馬場の外、しかもオフの状態の武豊さんに挨拶できたのは嬉しかったですね。

(*)公正確保の観点から、JRAでは騎手が騎乗予定の競馬場に移動する際は一般の方と接しないよう定められている。今回のケースでは海外重賞から地方交流重賞への移動であり、JRA開催ではないため、移動中に話しかけることができた

「私はなんてことをしてしまったんだろう」

――ちなみに、かぐらさん自身は馬券は買わないのでしょうか。

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かぐら 昔はよく購入していましたが、今は武豊騎手が騎乗するレースでは馬券を買いません。

――買わなくなった理由があるのでしょうか。

かぐら 1991年からですね。武豊騎手は第104回天皇賞(秋)にメジロマックイーンに騎乗していて、当然、私はメジロマックイーンの馬券を1万円購入していたんですが、「もしかしたら……」と魔が差して、プレクラスニーという馬の馬券も持っていたんです。

1993年の京都大賞典を制した際のメジロマックイーンと武豊騎手 ©文藝春秋

 結果的に、最初にゴールをしたのはメジロマックイーンでした。ただ、斜行(注:馬が斜めに走ること。他馬の走行に影響を及ぼした場合には制裁がある)で、降着になってしまい、勝ったのは、2番目にゴールを決めたプレクラスニーで。

 馬券は当たりましたが、武豊騎手のファンとして自分がやったことが恥ずかしい気がしてしまって……。「私はなんてことをしてしまったんだろう」です。配当金はその日のうちにすべてお酒に変えて、記憶をなくすまで飲むことにしました。

 以来、馬券を買うのは武豊騎手が乗らないレースですね。とはいえ、ご承知のように武豊騎手が騎乗しないレースはそう多くはないので、ほぼ買っていない状況です。

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 学生時代にファンになり、定職を辞してまで武豊氏を追いかけ続ける筋金入りの武豊マニアかぐらさん。幼少期は絵に描いたような“お嬢様”だった彼女が競馬に出会ったきっかけ、そして、忘れられない“あるレース”とは。インタビュー後編は、以下のリンクからお読みいただけます。

次の記事に続く 「子どもが高校生くらいのときには世界中の競馬場に出かけていました」エリート家庭に生まれた桜蔭卒のお嬢様が“武豊”の追っかけになった“意外な経緯”とは

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。