上野の仲町通り――アメ横と並ぶ人気飲み屋街は、いまや「ぼったくり通り」とも呼ばれる。キャッチによる違法客引き、薬物混入、クレカ不正使用……。そして夜が更けると現れる、中国系・ベトナム系の違法店。警察の取り締まりをすり抜け、次々と形を変える“裏の稼ぎ方”とは? 現地を取材した、花田庚彦氏のレポートを新刊『台東区 裏の歩き方』(彩図社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む

今、治安が悪化している「東京のある街」とは――。写真はイメージ ©getty

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“ぼったくり通り”として悪名を轟かせる仲町通り

 上野で一大歓楽街として知られる上野仲町通り。この通りの歴史は古く、1628年に上野寛永寺の門前町として成立したという。今では多くの飲食店が立ち並び、アメ横と人気を二分する飲み屋街だ。

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 しかし、最近ではこの通りにダーティなイメージが定着しつつある。それが、ぼったくりや違法客引きの多発地帯であるというものだ。

 仲町通りや南にある春日通りまでを含むこの地域では、キャッチによって連れていかれたバーやエステなどで、入店前に聞いた価格とは異なる巨額の請求をされるケースや、飲み物に何かしらの薬物を混ぜられ、昏睡したところでクレジットカードやキャッシュカードなどから金が引き出されるといったケースが近年相次いでいる。

 消費者トラブルなどのサポートを主に行う梶山行政書士事務所の公式サイトには、こんな事例が掲載されている。

 2024年3月2日、キャッチに紹介された店で酒を飲んだあと、客は意識を失った。後日、クレジットカード会社から29万円の身に覚えのない請求がきていることが発覚。さらにキャッシュカードからは現金11万円が引き出され、そのうち10万円が奪われていたこともあわせて判明したという。

 こうしたことから、警視庁の公式サイトでも違法客引き出没エリアとして仲町通りや春日通りの近辺が紹介され、注意喚起がなされている。

 さらに、コロナ禍以降では、ベトナム人が経営するガールズバーやクラブなどが急増し、こちらも強引な客引きや、違法薬物の蔓延が問題視されている。