2022年5月には、近辺の路上でベトナム人女性が口におしぼりが入ったまま死亡しているのが発見されたが、これも違法薬物事案だった。のちに女性の死因は、急性MDMA中毒と気道閉塞によるものと発覚。死亡した日に一緒にクラブに行った男女4人が、死亡した女性がMDMAの摂取で錯乱状態に陥ったにもかかわらず放置して死なせたとして、保護責任者遺棄致死の容疑で逮捕されている。

 警察もこうした状況を憂慮してか、2024年10月と2025年6月、ベトナム人が経営するガールズバーを無許可営業などの風営法違反容疑で検挙するなど、締め付けを強めている。

 そんな仲町通りは果たして今、どうなっているのか――。疑問を抱いた筆者は、現地を訪れ、その状況を自分の目で確かめてみることにした。

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「もうぼったくりはない」とキャッチは語るも……

 まずは、仲町通り近辺のキャッチから話を聞くことにした。警察から目の敵にされている彼らだが、街の裏も表も知り尽くしているネタ元として、まさに理想的な取材相手である。

 最初はストレートに「近辺にまだぼったくりバーはあるの?」と聞いて回ったが、彼らは一様に「ぼったくりはもうないです」と口を揃えるばかりだった。それでも、話が弾んだ何名かに粘り強く聞いてみると、そのうちのひとりがこう話した。

「まあ、今いるあたりではそういうところは本当にほぼないと思いますよ。向こう側はわからないけどね。ベトナム系や中国系のお店も、基本的にこっちよりもあっちにあるんですよ」

 彼は、上野駅方面と逆の方向を指さしながらそう告げた。

 この場所がぼったくりの温床になっている理由の一つに、通りの途中で警察の管轄が変わることが挙げられる。上野駅方面の約半分は台東区の上野警察署の管轄であるのに対して、逆側半分ほどは文京区の本富士(もとふじ)警察署の管轄となっている。そのためいざ事件が起きたときに、捜査が困難な“ポケット”とも言うべき状況になっているのだ。

上野駅 ©getty

 引き続きキャッチが話すところによると……。

次の記事に続く 値段を誤魔化すために「わざと下手な日本語」を話すガールズバー店員も…近づいてはいけない『東京のヤバい店』はどこにある?