上野・仲町通りを中心に、深夜になると中国系の“ぼったくり”が横行しているという。取材を進めると、キャッチたちは一様に口を濁し、現場を知るガールズバー店員たちからは「プチぼったくりが今も多い」との証言が。終電後の路地裏では、酔客の腕をつかんで消える女性の姿も――。
ベトナム人女性が薬物中毒で死亡した事件から3年、再び危険な香りを漂わせている上野の今とは? 花田庚彦氏のレポートを新刊『台東区 裏の歩き方』(彩図社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/最初から読む)
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遅い時間に中国系のぼったくりが多数発生
引き続きキャッチが話すところによると、「水商売関係者の間では上野署は規制が甘く、本富士署の取り締まりはキツイというのが定説。でも巡回する警察関係者がいなくなった夜中は、あっちのほうがヤバい」とのこと。じゃあいまだにぼったくりとかも……? と再び話題を戻すと、彼は「いや、自分から詳しいことは……」と言葉を濁し、それ以上を語ってくれることはなかった。ある意味ではこの沈黙こそが、答えを雄弁に語っているとも言えるだろう。
キャッチからこれ以上の情報を集めるのは難しそうだ。そこで、声をかけたキャッチのひとりにもう一度話しかけ、とあるガールズバーを紹介してもらった。その店は入れ替わりの早いガールズバーとしては珍しく、10年以上も営業を続けている。上野で起きたいろいろな事件を知っている店員も多いだろう、という情報を事前にキャッチから得ていたため、店に向かうことにした。
店に入り、接客をしてくれた数人の女性店員に話を聞いてみると、「うちにくるお客さんからも、『ぼったくりの被害に遭った!』って話、よく聞きますよ!」としたうえで、ひとりがこう話した。
「がっつりぼったくりをするんじゃなくて、ちょっとしょぼいプチぼったくりみたいなのは、いまだに多くあるみたいですよ。その人は軽く時間潰す気でお店を利用したらしいんですけど、明らかに女の子が飲んだドリンクの杯数がおかしかったらしいんです。それで店員に言ったら『間違えました』って直されたそうで」
これぐらいなら繁華街では珍しくないが、時間が遅くなると、より強引なケースが増えるという。
